研究課題/領域番号 |
17K16764
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 信一郎 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30411359)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性痛 / キヌレン酸 / キノリン酸 |
研究実績の概要 |
キヌレン酸とキノリン酸の薬理効果を検討した 【方法】本研究は事前に動物実験委員会による承認を得た。痛みモデルは、5 週齢のddY 雄マウスを、イソフルラン麻酔下に、第5 腰椎神経を左側のみ結紮した神経障害性痛モデル(L5SNL)を用いた。キヌレン酸は、L5SNL作製当日から7日間連続で腹腔内投与(非投与群;0mg/kg、150群;150mg/kg、300群;300mg/kg、各群5匹)した。Sham群では腰背部の皮膚切開および縫合のみを施行した。体重負荷測定機器(Bioseb-In Vivo Research Instruments, France)を用いて、L5SNL 作製前と作製7日後に、両下肢の荷重、接地面積、接地時間を測定し、左右比で痛みの評価を検討した。統計学的検討は、Dunett’s Testを行い、p<0.05を有意差ありとした。 【結果】L5SNL モデルは、神経障害性痛の影響により下肢の荷重および接地面積は、健側に偏る傾向を認めた。キヌレン酸の300 mg/kg投与群は、荷重比および接地面積比が非投与群に比べ改善(荷重比:非投与群 0.54 ± 0.05、300 群 0.75 ± 0.07 接地面積比:非投与群 0.68 ± 0.07、300 群 0.85 ± 0.04、平均 ± 標準誤差)した。 【考察】内因性NMDA受容体アンタゴニストのキヌレン酸は、神経障害性痛の行動様式を緩和する可能性が示唆された。キヌレン酸は脳血液関門を通過せず、その作用部位は、過去の報告では後根神経節と考えられているが、さらなる検討が必要である。 また、重水素でラベルしたキヌレン酸を用いて、質量分析装置を使用した濃度測定の適切な条件ンを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度はキヌレン酸とキノリン酸の薬理効果を検討する予定であったが、予想以上に行動評価の検討に時間がとられてしまった。理由は、体重負荷測定機器(Bioseb-In Vivo Research Instruments, France)を用いてマウスの行動観察を観察しているが、そのビデオ解析時に下肢の左右を決定しなければならないのだが、この作業に時間が多く費やされてしまった。 マウスの脳脊髄液の採取に取り組み、手技の確立にある程度の目途がたった。しかし、その後の質量分析装置を用いた、濃度測定の検討が遅れている。その理由は、現在、重水素でラベルしたキヌレン酸を用いて、定量化に取り組んでいるが、適切な測定条件の検討に難渋しているからである。
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今後の研究の推進方策 |
当大学の質量分析を専門にしている研究者に質量分析の測定条件の検討を相談し、共同で検討する予定にしている。測定条件を整えた後に、マウスから血液、脳脊髄液を採取し、資料分液装置を用いて、キヌレン酸、キノリン酸の濃度測定をする。 キノリン酸はミクログリアから産生されるので、キノリン酸が神経障害性痛の維持発現に関与し ている可能性があるので、神経障害性痛モデルを用いて、その脊髄・後根神経節のミクログリアの活性を測定し、キヌレン酸・キノリン酸の濃度と関連があるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
体重負荷測定機器センサーシートが消耗が早くかつ高額(一枚\80,000)のため、予算を計上していたが、センサーシートが摩耗せずに継続使用が可能であり、交換する必要がなかったため。 また、米国麻酔科学会2017で学会発表を予定していたが、研究の進捗に後れを認め、結果の解析に時間がかかり、発表に値するデータ量が得られず、学会発表を見送ったため。
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