研究課題/領域番号 |
17K16771
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
佐藤 天童 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (60749571)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸 / 前立腺癌 |
研究実績の概要 |
ヒアルロン酸は癌の悪性度、浸潤能、転移能と密接に関連しているが、癌の種類や、間質と腫瘍の関係によりその生物学的意義が異なり、複雑なメカニズムが存在する。本研究では、ヒアルロン酸の分子量に着目し、前立腺癌における高分子ヒアルロン酸発現の意義について検討中である。平成30年度の課題は①ヒト前立腺組織におけるヒアルロン酸発現量を分子量別に定量すること、②Laser capture microdissection(LCM)を用いてヒト前立腺組織から、正常、腫瘍部分に分けてサンプリングを行い、ヒアルロン酸を分子量別に定量すること、であった。手術標本からサンプルを採集し、ヒアルロン酸を高速液体クロマトグラフィーで解析するのに十分な量が含まれているかを確認することができた。さらに、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からのヒアルロン酸抽出も試みたところ、処理過程での課題(サンプル量の測定限界、パラフィン等の除去に工夫が必要であること、等)を見出すことができた。測定のしやすさから、ホルマリン固定パラフィン包埋切片は今後の課題とし、まずは手術標本からのヒアルロン酸発現量定量化を試みた。具体的には、1)検体の酵素分解(アクチナーゼ、セルラーゼによりグリコサミノグリカンを回収し、2)高速液体クロマトグラフィーにより構成要素の分析、ならびに、各分子量ごとの分画を回収し、3)分取された検体をヒアルロン酸測定キットにより、吸光度測定を行い、分子量別にヒアルロン酸の定量を行った。その結果、分子量150Kのヒアルロン酸をピークとした分布であることが判明した。また、高リスク前立腺癌で低分子ヒアルロン酸の割合が多い可能性が示唆された。現在、ヒアルロン酸分解酵素の発現を解析中である。サンプル数を増やした解析と、ホルマリン固定パラフィン包埋切片の解析が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前立腺癌組織から、ヒアルロン酸の測定には成功したが、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からのヒアルロン酸抽出は容易では無く、遅れが生じている。また、薄切切片のサンプル量が少なく、解析に十分な量を確保困難である点、Laser capture microdissection (LCM)を用いてヒト前立腺組織から、正常、腫瘍部分に分けてサンプリングを行う場合、更にサンプル量が減るため、高感度の測定系を構築する必要性があることが判明し、遅れが生じている。また、ヒアルロン酸分解酵素の発現も検討しており、今後の症例数を増やして検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の課題は以下の4点である。①ホルマリン固定パラフィン包埋切片からのヒアルロン酸抽出は容易では無い事、②薄切切片のサンプル量が少なく、解析に十分な量を確保困難である事、③前立腺癌の悪性度により、ヒアルロン酸の分子量が異なるかを検討するには症例数が少いこと。以上の点を踏まえ、まずは③に対し、手術検体を用いた安定した測定系を用いて、癌の悪性度により、ヒアルロン酸の分子量が異なるかの検討を継続する。そして①に対し、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からのヒアルロン酸抽出法の確立を目指す。その後②に対し、低用量で測定可能な高感度の測定系の構築を目指す。また、④前立腺癌におけるヒアルロン酸分解酵素の発現と悪性度の関連を解析予定である。
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