研究課題
前年度までに淡明型腎細胞癌組織におけるELOVL1-7の発現量は、非癌部に比べ癌部でELOVL1、ELOVL2、ELOVL5、ELOVL7の発現が亢進し、特にELOVL2高発現群で全生存率が有意に低いことを明らかにした。また、6つの腎癌細胞株(ACHN、SN12c、786-O、SKRC52、Caki-1、OSRC2)におけるELOVL2の発現量をqRT-PCRにより検討した。正常近位尿細管細胞株(RPTEC)と比較してACHN、SN12c、786-O、SKRC52は発現が亢進していた。そこで、レンチウイルスベクターシステムを使用してELOVL2発現抑制腎癌細胞株(ACHN、SN12C、786-O)を樹立し、MTTアッセイによりELOVL2発現抑制により腎癌細胞株の細胞増殖が有意に抑制されることを明らかにした。今年度は、CRISPR-Cas9システムを使用してELOVL2ノックアウト腎癌細胞株(ACHN ELOVL2-KO細胞)を樹立し、MTTアッセイにより細胞増殖が有意に抑制されることを再確認した。Caspse3/7 AssayおよびJC-1 Assayを行ったところ、ACHN ELOVL2-KO細胞はアポトーシスが有意に亢進していた。以上の結果から、淡明型腎細胞癌においてELOVL2は脂肪酸組成の変化を介して、ミトコンドリア障害によるアポトーシスを抑制することで細胞増殖を促進することが推察された。現在、アポトーシスに関連する遺伝子発現を網羅的に検討するためRNAシークエンスを行い、その結果を解析中である。また、前年度に引き続き極長鎖脂肪酸を検出する実験系の確立を進めているところである。
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PLOS ONE
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