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2017 年度 実施状況報告書

マイクロRNA発現解析に基づいた間質性膀胱炎の発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16779
研究機関獨協医科大学

研究代表者

布施 美樹  獨協医科大学, 医学部, 助教 (90568627)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードマイクロRNA / 間質性膀胱炎
研究実績の概要

間質性膀胱炎は、原因不明の難治性膀胱炎であり、頻尿や痛みといった症状により患者のQOLを著しく低下させるが、いまだ客観的な診断法や有効な治療法がないのが現状である。今回我々は、間質性膀胱炎の病態解明に向けて臨床検体におけるマイクロRNA発現プロファイルの作成を試みた。
麻酔下膀胱水圧拡張時に間質性膀胱炎患者から得られた生検検体を用いて、RNAシーケンシングにより網羅的なマイクロRNA発現解析を行い、その発現レベルを、すでに当研究チームで作成していた正常膀胱検体および膀胱癌検体における発現プロファイルと比較したころ、間質性膀胱炎特異的に発現異常を認める336個のマイクロRNA(203個は発現低下、163個は発現亢進)が同定された。今回は、そのうち特に発現低下が顕著であったマイクロRNA320ファミリー(miR-320a, miR-320b, miR-320c, miR-320d, miR-320e)に着目し、ゲノムワイド解析およびイン・シリコ解析を用いてその標的遺伝子の探索を行ったところ、3つの転写因子(E2F-1, E2F-2, TUB)がmiR-320ファミリーから制御を受けていることが判明した。
続いて間質性膀胱炎臨床検体において免疫染色を行ったところ、これら3つの転写因子は全て病変部において発現が亢進していた。
以上より、miR-320ファミリーが制御する分子ネットワークが間質性膀胱炎の病態に関与している可能性が示唆され、今後の新規分子マーカーや新規治療法の開発につながることが期待されると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の第一目的である間質性膀胱炎におけるマイクロRNA発現プロファイルを完成できたため。

今後の研究の推進方策

間質性膀胱炎の病態に関与するマイクロRNAはほかにも複数存在すると考えられる。今回作成されたマイクロRNA発現プロファイルをもとに、発現異常を示す他のマイクロRNAについての解析も順次進め、より網羅的な分子ネットワーク解明を目指していく。
可能であれば血中および尿中のマイクロRNA発現レベルの解析(リキッドバイオプシー)や動物モデルを用いたマイクロRNA補充による効果の検証なども行い、より臨床につながる研究結果につなげたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究では臨床検体を用いたin vitro解析およびインシリコ解析が主体であったため、研究にかかる費用が高額にはならなかった。また、今回の研究結果が出たのが年度末であったため、業績発表の機会がなく、旅費が発生しなかったことから、想定よりも少額の使用となった。
次年度は本年度使えなかった助成金を用いて、血液や体液におけるマイクロRNA発現解析や動物モデルを用いた研究なども鋭意行いたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Molecular pathogenesis of interstitial cystitis based on microRNA expression signature: miR-320 family-regulated molecular pathways and targets.2018

    • 著者名/発表者名
      Arai T, Fuse M, Goto Y, Kaga K, Kurozumi A, Yamada Y, Sugawara S, Okato A, Ichikawa T, Yamanishi T, Seki N.
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1038/s10038-018-0419-x.

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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