研究実績の概要 |
Tripartite motif (TRIM) 蛋白はユビキチン経路に関与し、なかでもTRIM44は悪性疾患との関連を指摘されている。本研究は腎癌におけるTRIM44の臨床的意義および機能を明らかにすることを目的とした。 腎癌のTRIM44の免疫学的染色では、TRIM44の強発現は、短命細胞癌 (P = 0.005), 遠隔転移あり (P = 0.048), Grade3(P = 0.003)、微小リンパ管浸潤あり(P = 0.028)、癌特異的死亡率(P = 0.019)と有意な相関を認めた。細胞実験は、腎癌の細胞株である769-PとCaki-1細胞を用いた。それぞれの細胞株に関してTRIM44のgain-of-function,loss-of-functionの実験を行った。loss-of-functionに関してはsiTRIM44を用いて腎癌細胞のTRIM44のノックダウンした。Caki1細胞においてTRIM44の一時的強発現を行うと細胞増殖能実験(MTS assay)では48時間後でcontrolと比較して有意な細胞増殖を認めた。また、siTRIM44によりCaki1細胞のTRIM44をノックダウンすると24時間後、48時間後でcontrolの細胞がTRIM44ノックダウン細胞と比較して有意に増殖能が高いことがわかった。また、遊走能実験でも、TRIM44を一時的強発現したCaki1細胞は、controlと比較して遊走した細胞数が有意に多く、TRIM44ノックダウンしたCaki1細胞では有意に少ないことがわかった。また、TRIM44の一時的強発現したCaki1細胞とcontrol, siTRIM44でTRIM44ノックダウンしたCaki細胞とcontrolでマイクロアレイ実験を行い、現在解析中である。
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