小径腎腫瘍に対する腎部分切除は標準的治療となっているが、腎部分切除後に高血圧が出現し、心血管障害の発生や、全生存率に悪響を及ぼす可能性が理論的にはある。本研究では、腎腫瘍に対して腎部分切除または根治的腎摘除を施行した症例の術前後の血圧および術前後の降圧薬を含む臨床データを解析し、腎部分切除後の高血圧の予測因子を同定することを目的として研究を行った。根治的腎摘除と比較し、腎部分切除後には術後高血圧の発症が多く、腎部分切除術後の高血圧発症の危険因子として、術後CRP高値および急性腎障害の発症が同定された。腎部分切除による腎実質の損傷の程度が大きいものが高血圧発症の危険因子であることが示唆される。
|