当研究では、尿路上皮癌と腎細胞癌(RCC)患者における腫瘍組織浸潤リンパ球(TIL)の免疫学的機能を明らかにし、その臨床的意義を示すこととした。 まず、上記の発現様式は癌種に限らず腫瘍の悪性度が高いと有意にTIL上のイムノチェックポイント分子が高発現することを見出した。 97人のRCC患者から抽出したTILをフローサイトメトリーで測定したPD-1とTim-3の発現に基づいてCD4 CD8各4分画に分類した。RNAシークエンスを用いて各集団の特徴を決定した。 Gene set enrichment analysis (GSEA)では、CD8T細胞におけるPD-1+Tim-3+およびCD4T細胞におけるPD-1dimTim3+の集団はそれぞれ疲弊化CD8T細胞および制御性CD4T細胞として特徴付けられた。多機能性および細胞傷害性機能性の結果はこれらの結果と一致していた。CD4T細胞とCD8T細胞の集団は、高悪性度(グレード3、4)を有する患者において有意に上昇していた(p <0.05。高悪性度患者のCD4T細胞およびCD8T細胞における他の細胞集団の機能は、低悪性度患者の機能よりも有意に低かった。最後によりNivo治療を行った患者のうち高悪性度のmRCC患者のPFS(HR:19.22、95%CI:1.53-242.16、p = 0.022)およびCSS(HR:17.05、95%CI:1.15-252.83、p=0.039)は、低悪性度患者と比較して有意に劣っていた。 本研究では、腫瘍の悪性度がTILの全体的な機能障害とNivo治療の有効性に有意に相関することが示された。 腫瘍の悪性度を特徴づける単一の変異や遺伝子発現は同定できなかった。
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