研究課題
昨年度の実験により、膀胱の求心性神経が主に入力する脊髄L6での神経細胞の活性化について評価できたが、c-Fos陽性細胞が本当に膀胱求心性神経からの神経シグナルによって活性化していることを直接確認するために、神経トレーサーを用いた解析を行った。膀胱の求心性神経を可視化するために、膀胱の尿路上皮下層に神経トレーサーCTBを投与し、その1週間後にATPを膀胱還流させ頻尿状態とし、昨年度と同様に脊髄L6におけるc-Fosの免疫染色を行った。すると、c-Fos陽性細胞はCTB陽性の膀胱求心性神経に連続している所見が一部で確認できた。さらに詳細に調べるために、神経のシナプス結合に特異的なsynaptophysinの免疫染色をCTBを投与したマウスのc-Fos免疫染色と同時に行った。その結果、synaptophysinとCTBが重なってc-Fos陽性細胞に連続している所見が確認できたことから、脊髄L6のc-Fos陽性細胞は膀胱求心性神経の神経シグナルによって活性化していることが示唆された。次にATP膀胱還流によって生じる頻尿のメカニズムを脊髄より上位の中枢神経で解析するために、ATP誘発頻尿モデルを用いて、まずは頻尿状態によって活性化される部位を網羅的に調べる方針とした。脊髄での解析と同様に、神経活動マーカーであるc-Fosを用いて免疫組織学的に解析しようとしたが、手技が安定せず時間を要しており、現在も継続中である。
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 30 ページ: 498-503
10.1016/j.bbrc.2018.10.106.