研究課題/領域番号 |
17K16813
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本郷 周 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10626675)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 化学療法 / 上皮間葉移行 / EMT / CRPC |
研究実績の概要 |
去勢抵抗性前立腺癌(Castration Resistant Prostate Cancer; CRPC)に対する有効な治療は少なく、近年までタキサン系抗癌剤ドセタキセル(DOC)のみとされていた。新規抗癌剤であるカバジタキセル(CBZ)も使用され始めているが、DOC, CBZともに生命予後延長効果は数か月程度であり、予後不良である。CRPCは高率に骨へ転移し、疼痛や病的骨折の原因となることから、患者のQOLへの影響も大きく、CRPCに対する新規治療戦略の確立は喫緊の課題である。 申請者はCBZ耐性モデルの樹立のため、転移性CRPCモデル細胞株DU145に対して1.5年に渡りCBZを投与することで、DU145と比較しCBZに対するIC50が3倍に増大したDU145CRを樹立した (DU145: 3.8nM, DU145CR: 11.0nM)。Realtime PCRにおいて、DU145CRはEMTのマーカーであるZEBファミリー、SNAIファミリーの発現が亢進していた。、DU145のZEB1をKnock downしたところ、Realtime invasion assayにおいて浸潤能の低下を認めた EMT関連遺伝子を標的とすることにより抗癌剤耐性CRPCの難治性克服の可能性が示唆されたが、臨床上使用可能なEMT阻害剤は存在せず、臨床応用には高い障壁があると考えられた。。申請者は、当教室で確立したバイオインフォマティクスによる解析手法(Kosaka T et al, Cancer Sci. 2013)を応用し、転移性前立腺癌患者の遺伝子発現プロファイルを、初期癌のプロファイルへ再プログラム化する薬剤をin silicoでスクリーニングした。その結果、数種の既存薬剤において、転移性前立腺癌のEMTを抑制する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は抗癌剤耐性CRPCにおけるEMT関連因子の亢進を見出しており、新たな治療標的になり得ると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は抗癌剤耐性CRPC細胞株の機能解析を進めるとともに、バイオインフォマティクスを応用した薬剤スクリーニングにより同定した抗癌剤耐性CRPC細胞株のin vitro, in vivoにおける抗腫瘍効果の検証を行っていく。
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