本研究では、新規NFκB阻害剤をin vitroにて、ホルモン不応性前立腺癌細胞株であるDU145に作用させたところ、経時的かつ濃度依存性に殺細胞効果を認めた。さらに既存の抗がん剤であるタキサン系抗がん剤を併用することにより、前立腺癌細胞の生存率の有意な低下を認め、相乗効果を確認し得た。さらに前立腺癌細胞株DU145の10(6)個をBALB/cヌードマウス(6週雄)の背部皮下に移植し、皮下腫瘍モデルを作成し、作成したマウスをコントロール群(生理食塩水)、薬剤投与群(4mg/kg)、薬剤投与群(8mg/kg)の3群に分けてin vivoの実験を行ったところ、新規NFκB阻害剤による腫瘍の有意な発育抑制効果を認めた。NFκBの可能性のある上流因子としてFuse Binding Protein(FBP)に着目し、siRNAを用いてトランスフェクション法にてノックダウンし、Western blotting法にて発現抑制を確認し、Alamar blue assay法により細胞数を測定することにより、ノックダウンによる腫瘍増殖抑制効果を確認した。本研究では、FBPが前立腺癌の細胞増殖に重要な働きがある可能性が示され、NFκBと共に前立腺癌においても治療標的になり得る事が示され、今後の臨床応用が期待された。FBP-NFκB pathwayの存在を確認する実験、ならびにFBP-NFκB pathwayの制御による新規治療戦略の確立を引き続きin-vitro、in-vivoで継続中である。
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