研究実績の概要 |
進行性腎細胞癌に対する薬物治療は、現在までに種々の治療薬が使用され生存率の改善を認めているが、奏功率、副作用の面において依然厳しい状況である。近年、抗マラリア薬として使用されているartemisininの抗悪性腫瘍効果の報告が相次いでおり、泌尿器科系悪性腫瘍に対する効果も期待できる。本研究では、腎癌細胞に対するartemisinin(誘導体)の抗腫瘍効果と細胞障害の機序を明らかにすることで、腎細胞癌に対する新たな治療法の開発を目的としている。これまでの実験結果を以下に示す。1).Artemisinin誘導体の腎癌細胞株における増殖抑制効果の確認。WST-1 assayにて増殖抑制効果を検討した。DHAとARTESにおいて増殖抑制効果を確認できた。2).細胞周期への影響、DNAヒストグラムの確認。腎癌細胞株へのartemisinin誘導体のcell cycleへの影響を確認した。薬剤投与下で24時間培養を行い、処理した細胞をFlow cytometryにてPI染色を行い調べ、腎癌細胞のcell cycleにおける影響を確認した。ArtesnateにおいてG2/M期の増加を認め、腎細胞癌細胞周期においてG2 arrestを誘導していると考えられた。3).腎癌細胞株のアポトーシス誘導の確認。FITC標識したAnnexin Vをプレートに投与し、FACSで解析した。DHA,artesnateは腎細胞癌株においてアポトーシスを誘導することが示された。4).腎癌細胞株のヌードマウスへの移植方法の確立。腎細胞癌株SKRC-7,12,17,33,59をヌードマウスへ皮下移植し、腫瘍モデルマウスの作成が可能であることを確認した。サイクリン関連分子の発現、Rb関連分子への影響の確認。腎細胞癌cell lineを用い、Rb関連分子の発現をWestern blottingにて確認した。
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