研究課題
尿路上皮がんにおけるDNA Damage Agentの耐性獲得機序の解明のため、同一患者症例からの初発膀胱がんと、放射線化学療法後の再発症例を用いて、網羅的な蛋白質発現差異の解析をTMT (Tandem Mass Tagging)-based Quantification Analysisで行った。解析で明らかになった1640の蛋白のうち、再発症例で最も有意に発現上昇していたBUB1(Budding Uninhibited by Benzimidazoles 1)についての分子生物学的解析を施行した。膀胱がん細胞株(T24、JMSU1、253JBV、5637)のシスプラチン耐性株を樹立し(T24R、JMSU1R、253JBVR、5637R)し、BUB1の発現レベルをみたところ、T24R、JMSU1R細胞で有意にBUB1発現レベルの上昇が見られたため、Lentiviral vectorを用いて、Luciferase, Tet-on sh-BUB1 (#1-3)を導入し、Orthotopic Xenograft Mouse Modelにてシスプラチンの治療効果を検討したところ、Dox Feeding Mouseでは明らかにシスプラチンによる腫瘍抑制効果が高かった。BUB1の過剰発現による、DNA Damage Agent耐性の分子生物学的機序解明のため、Cas9-IRES-GFP導入細胞を樹立したうえで、GFPのsgRNAとssDNA Template (IRES-mCherry)を導入し、FACSでNHEJ (Non-Homologous End Joining)、HR (Homologous Recombination)の比率を検討したところ、BUB1ノックダウンによりError-Prone NHEJ (alternative NHEJ)が著名に抑制されていた。これらの結果を内在性遺伝子(RBM20, AAVS intron region)で確認するため、CRISPRで標的部位を切断し、ddPCRでError-Prone DNA Repair の比率を解析することにより、これらの結果のValidationを行った。これにより、DNA Damage Agent耐性クローンにおいてBUB1の過剰発現がError-Prone DNA Repairを亢進しており、さらにGenomic Instabilityを引き起こすことにより、Tumor Heterogeneityを獲得していることを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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