研究参加者のリクルートは平成29年8月より開始され、令和元年7月までに44名から研究参加の同意を取得し、検体サンプリングを行った。令和元年12月までに42症例より末梢血(単核球に分離した状態)、正所子宮内膜がサンプリングされた。14症例において子宮内膜症を有しており、内膜症病変を同時にサンプリングされた。すべての症例について病歴(基礎特性や子宮内膜症の所見など)のデータを収集した。なお、当初の研究計画で研究サンプル候補として予定していた月経血および腹水のTCR解析については細胞サンプリングの不安定さから十分な解析が困難であったため、平成30年度から解析対象から削除した。 子宮内膜症群12例と非子宮内膜症群8例、計20例の末梢血サンプルに対してTCRレパートリー解析を施行した。α鎖およびβ鎖でのV-J遺伝子の組み合わせにおいて、いくつかの高頻度を示す遺伝子配列がいくつか散見された。しかし、子宮内膜症群内において、子宮内膜症に特異的な遺伝子配列の各候補を検体間で比較したところ、出現頻度からは類似性を見出すことは困難であった。このことから単純解析だけでは子宮内膜症に特異的を見出すことはできないことが判明した。そのため、研究計画を見直し、子宮内膜症症例に対象を絞り解析を行うこととしていた。子宮内膜症病変からの解析に十分なサンプルが採取できなかったことから、令和2年度から、最終年度となる4年度までに子宮内膜症症例サンプルの追加を予定していたが、症例を収集することがかなわなかった。今後の研究遂行は不可能と判断した。
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