研究実績の概要 |
C57BL/6がバックグラウンドであるCD4+T細胞特異的ERα欠損マウス(雌)に高脂肪食負荷をかけた後にBALB/cのワイルドタイプマウス(雄)と交配させ、妊娠糖尿病モデルマウスを作製した。ノックアウトマウスの妊娠率、体重、胎仔重量への影響はなかったが、フロックスマウスと比較して耐糖能の増悪が見られた。ノックアウトマウスの内臓脂肪組織において、T-bet, RORγt, IFNγ, およびTNFα の発現増加を認めた。以上の結果より、妊娠糖尿病モデルマウスにおいて、エストロゲンはT細胞のERαを介して内臓脂肪のTh1,Th17浸潤を 低 下させることで慢性炎症を軽減し、耐糖能の維持に寄与すると考えられた。 閉経後、糖尿病になる前の未病状態でカギとなる遺伝子を検出するために、閉経モデルマウス(卵巣摘出)、閉経肥満モデルマウス(卵巣摘出、高脂肪食負荷)、コントロールマウス(偽手術)を飼育し、耐糖能異常が出現する負荷開始後2か月までの内臓脂肪組織の変化をDNAチップを用いて解析した。さらにDNB(Dinamic Network Biomarkers)理論を用いて、閉経肥満モデルマウスの未病状態の変動マーカーを検出した。1週間後の内臓脂肪組織において、変動の大きかった遺伝子の一つとしてCD52が検出された。次にCD52ノックアウトマウスに卵巣摘出を行い、ワイルドタイプマウスと比較し、耐糖能や体重などの代謝表現型に差があるかを検討した。卵巣摘出のみではCD52ノックアウトマウスとワイルドタイプマウスの間に有意な差はなかった。
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