研究実績の概要 |
【目的】分娩時血糖の動向をリアルタイムCGMで評価し,分娩中における血糖動態を解明し,GDM群と正常血糖(対象)群の平均血糖値(SG)を比較検討し,分娩時期による血糖値の差異から判明した結果をもとに分娩時の血糖管理法を選定する. 【方法】2016年5月から19ヶ月間の当院で経腟分娩を施行したGDM群:22例,対象群:26例のうちの解析可能な18例と22例.当院の管理指針を用い,必要時自由に飲食を摂り陣痛発来時から分娩期間を4段階(Ⅰ期からⅣ期)に分け,分娩後48時間までの血糖変動をリアルタイムCGMで測定し解析した. 【結果】出生児背景に有意差無し.陣痛初来後のインスリン使用は,潜伏期と活動期で全症例のインスリン合計使用量は29単位から6単位へ減少.産後の使用無し.次にSGの分割プロットデザインの分散分析の結果,SGは分娩期間の主効果には有意差が認められたが[ F(2.1,80.7)= 5.915, P<0.01],DM有無の主効果,および期間とDMの交互作用は認められなかった.T検定(ボンフェローニ法による修正)を用いた下位検定では,分娩期間別では 4期のDM有無間(P<0.05)に有意差を認めた.DM有無別の検討では, DMなし群で3期と4期(P<0.05)に有意差を認めた. 【結論】2群間比較からSGに差が認めず,児娩出後早期のSGが最大値を示した.その後正常群のSGはGDM群に比し急峻に正常化することが示された,日本のGDM妊婦の分娩管理は絶食状態・補液・インスリン持続投与が現在推奨されるが,血糖測定下であれば正常群と同様の管理方法を用いて分娩を行うことが可能であるかもしれない.
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