研究課題/領域番号 |
17K16855
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高石 清美 熊本大学, 医学部附属病院, 診療講師 (00601303)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / マクロファージ / 婦人科腫瘍 |
研究実績の概要 |
卵巣癌に対する分子標的治療薬の承認が増えている近年、癌細胞とともに腫瘍免疫にも着目が集まっている。多くの癌腫と同様、卵巣癌においてもマクロファージは微小環境により免疫抑制に働くM2マクロファージに分化し、浸潤・血管新生を促進することで腫瘍増殖に関わる。我々の研究課題である、STAT3の活性化を阻害することでマクロファージのM2分化を抑制する天然化合物で、どこまで治療効果を向上できるか、さらに、治療補助薬として相乗効果がみられるかは、今後の治療薬開発にあたり、基盤となる事項である。今回、我々は卵巣癌細胞に対するcorosolic acitとOnionin Aの抗腫瘍効果について再現性の確認もかねて検討した。方法としては、培養液にこれらの成分を添加し、ヒト卵巣癌細胞株(SKOV3、RMG-I、ES-2)の細胞増殖能を検討した。さらに、抗癌剤(paclitaxel、cisplatin、carboplatin)、抗癌剤とOnionin Aの併用群を添加し、細胞増殖能に対する作用をWST-8 assayにて、STAT3活性化に対する作用をWestern blot法にて解析した。その結果、corosolic acidの再現性は確認された。同時にOnionin Aは卵巣癌細胞の細胞増殖能ならびにSTAT3の活性を有意に抑制した。
その他の研究事項 学会発表筆頭演者 6回(日本婦人科腫瘍学会など)、和文著書筆頭者 3編(①一冊でわかる婦人科腫瘍・疾患 周産期疾患、生殖・内分泌疾患、乳癌を含む 片渕秀隆、森谷卓也編集 文光堂 2017、2編担当 ②子宮頸癌治療ガイドライン 2017年版 2章(子宮頸部前癌病変とⅠA期の主治療)、7章(妊娠合併子宮頸癌の治療)日本婦人科腫瘍学会編 金原出版 2017子宮頸がん)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養実験の際、環境整備の不具合と感染により、培養細胞が使用できなくなり、原因究明と新たに始めた培養細胞の継代に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣癌に対する治療法として、近年はベバシズマブやオラパリブなどの分子標的治療薬が承認されて、治療法の選択に幅が出ている。その背景のもとで、本研究は腫瘍周囲の微小環境に着目した新しい視点での治療方法の開発ならびに、卵巣癌治療の主体となる抗癌剤治療の補助薬の役割を果たすことが期待される。引き続き、卵巣癌細胞に対する細胞毒性や、抗がん剤並びに分子標的薬などと併用することでの相乗効果について、検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費と人権費の見積もりに対する使用分が少なかったです。
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