研究課題/領域番号 |
17K16861
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
間瀬 聖子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30793608)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 卵巣がん / 再発 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
卵巣がんは高率に再発し、中でも早期再発は非常に予後不良である。しかし、どのような症例が早期再発をきたすのか、まだ不明である。再発に関与する遺伝子が判明すれば、再発への新たな治療の手がかりとなる可能性があり、個別化医療への一歩となる。 われわれのこれまでの研究で、漿液性卵巣がんの早期再発バイオマーカーとなるDNAメチル化遺伝子として、公共データベース(TCGA)を用いて解析を行い、ZNF671を同定した。自施設コホートの症例数を増やし、計85例の漿液性卵巣がん検体でZNF671のDNAメチル化を測定したところ、早期再発群で有意に高メチル化であることを得た。また、ZNF671高メチル化群では有意に予後不良であった。早期再発の予測に対するZNF671のメチル化の感度は84%であった。多変量解析により、ZNF671のメチル化状態は残存腫瘍のサイズよりも有意に再発への関与が大きかった。 卵巣がん細胞株3種類(JHOS-2、NIH-OVCAR3、SKOV3)における、siRNAを用いたZNF671ノックダウン実験では、細胞増殖能、浸潤能、遊走能が有意に増加することを見出した。特に浸潤能および遊走能への影響が大きく、再発に関与する遺伝子として機能していることを裏付ける結果となった。また、細胞株において、ZNF671の発現はDNAメチル化によって抑制されており、脱メチル化剤の使用により発現が回復することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標である、自施設の卵巣がん臨床検体を使用したDNAメチル化解析および卵巣がん細胞株でのノックダウン実験は順調に進行した。 過剰発現ベクターの作成が難航しているため、計画からやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ZNF671の更なる機能解析のため、過剰発現ベクターを作成する。 転写因子としての機能を確認するために、ChIP-seqを行い、結合している領域を同定し、ターゲット遺伝子を同定する。 候補となるターゲット遺伝子の機能解析を行い、ZNF671の発現変化による表現型と一致するかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験はそれまでに購入していた物品での実験が可能であり、次年度使用する金額が大きくなる見込み(ベクター作成やシークエンスなど)があったため。
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