卵巣がんは高率に再発し、中でも早期再発は非常に予後不良である。しかし、どのような症例が早期再発をきたすのか、まだ不明である。再発に関与する遺伝子の探索は、個別化治療の一歩となる。これまでの研究で、高異型度漿液性卵巣がんの早期再発バイオマーカーとなるDNAメチルか遺伝子として、公共データベースを用いて解析を行い、ZNF671を同定した。計85例の自施設症例の卵巣がん検体でZNF671のDNAメチルかを測定したところ、早期再発群で優位に高メチルかであることを得た。また、ZNF671高メチル化群では有意に予後不良であった。早期再発の予測に対するZNF671のメチル化の感度は84%であった。卵巣がん細胞株におけるZNF671ノックダウン実験では、細胞増殖能、浸潤能、遊走能が有意に増加することを見いだした。特に浸潤能および遊走能への影響は大 きく、再発に関与する遺伝子として機能していることを裏付ける結果となった。Zinc-finger遺伝子はDNA結合能をもち、転写因子として機能することが報告されており、ZNF671も転写因子として下流の遺伝子発現を制御している可能性が高い。ZNF671遺伝子の結合部位を特定するため、ChIP-Sequenceを実施する。
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