研究実績の概要 |
本研究の目的は、オーファン受容体であるERRのリガンドを同定/作成し、ERRの系を介した分子機序を解明し、新規内分泌治療戦略を確立することである。 平成29年度は,子宮体癌細胞株(HEC1A)と既知のERRのinverse agonistであるXCT790が、ERR抑制を介した抗腫瘍効果を示すこと、およびその機序について主にin vitroで解明した。またin vivoでも腫瘍の成長抑制効果を確認した。 平成30年度の課題は、平成29年度に引き続き、リガンド候補化合物のERR経路制御に及ぼす作用機序の解明、およびERRを介した系の分子機序の解明に加え、低分子化合物ライブラリーを用いたリガンドの同定、および立体構造解析からのドラッグデザインであった。まず、前年度に得られた結果であるXCT790のin vivoでの腫瘍成長抑制効果について、その分子機構の解明をHEC1A細胞株を用いて行なった。その結果として、TUNEL assayでアポトーシス促進が関与すること、CD31を用いたangiogenesis assayで血管新生抑制が関与することを示した。これらの結果は平成29年度の結果も含め、XCT790の子宮体癌に対するERRを介した抗腫瘍効果として報告した(Cell Oncol. 2019, Kokabu, Matsushima et al.)。また、ERRを介した系の分子機序の解明のため、siRNAを用いてERRaをノックダウンしたHEC1A細胞株について、マイクロアレイを施行した。結果は現在解析中である。
|