研究実績の概要 |
本研究ではCRISPR/Cas9ゲノム編集システムを用いて,卵巣癌進展に関与する分子としてケモカイン受容体の遺伝子発現をノックアウトし,癌微小環境下における病態生理学的役割を解明し,卵巣癌における新規治療戦略を開発することを目的としている。まずreal time RT-PCRを用いてマウス卵巣癌細胞株であるID8およびHM-1のケモカイン受容体 (CCR1, CCR2, CCR5, CXCR4, CX3CR1)の発現を確認した。CRISPR/Cas9 systemの機能評価を行うため,予備実験として遺伝子組換え実験安全委員会の承認後,Programmed cell death ligand 1 (PD-L1)遺伝子のゲノム領域断片をpSpCas9(BB)-2A-GFP(pX458) vectorに組み込み,ベクターを構築し,ID8およびHM-1にリポフェクタミンを用いてトランスフェクト後,樹立した細胞株において蛋白レベルでのPD-L1が欠失していることを確認した。さらにDNAを抽出後,サンガーシークエンス法を用いて,標的領域において塩基配列の欠失や挿入が生じていることを確認し,卵巣癌細胞株においてCRISPR/Cas9ゲノム編集システムが目的遺伝子を欠損させることを実証した。 次にケモカインレセプター遺伝子欠損細胞株を作製するため,CCR5, CXCR4, CX3CR1遺伝子のゲノム領域断片をpSpCas9(BB)-2A-GFP(pX458) vectorに組み込みベクターを構築した。今後,作製したベクターをID8およびHM-1にリポフェクタミンを用いてトランスフェクトし,樹立した細胞株においてreal time RT-PCR法,ウエスタンブロット法,フローサイトメトリー法を用いて各種遺伝子発現が欠損していることを確認する予定である.
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