研究課題/領域番号 |
17K16863
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
八幡 環 和歌山県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (90647562)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / CRISPR/Cas9 system / ケモカイン / PD-L1 |
研究実績の概要 |
本研究ではCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて、卵巣がん進展に関与する分子としてケモカイン受容体の遺伝子発現をノックアウトし、癌微小環境下における病態生理学的役割を解明し、卵巣がんにおける新規治療戦略を開発することを目的としている。その中で、卵巣癌進展に関与していると考えられるCCR5, CXCR4, CX3CR1の遺伝子改変用ベクターを前年度に構築し、マウス卵巣がん細胞株にトランスフェクト後、得られた細胞株において遺伝子発現の欠損の有無をreal time RT-PCR, ウエスタンブロット法、フローサイトメトリー法で複数回試みたが、遺伝子および蛋白レベルでのケモカインの検出が困難であった。 そこで、前年度の予備実験で樹立されたProgrammed cell death ligand 1 (PD-L1)欠損マウス卵巣癌細胞株であるPD-L1 KO ID8を用いて、卵巣癌進展における卵巣癌細胞上のPD-L1の機能を評価することとした。その中で、マウス卵巣癌の腹膜播種モデルではContral ID8株を移植したマウスと比べて、PD-L1 KO ID8株を移植したマウスでは有意に生存期間が延長した。上記より、CIRSPR/Cas9 systemによる遺伝子欠損株の作製手技は確立し、生体内でも十分に機能することが示されたため、引き続き、ケモカインの検出方法の見直しおよび欠損株樹立を目指して研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標的分子であるケモカインの遺伝子および蛋白レベルでの検出方法がうまく確立されていない状況であり、このままin vitroおよびin vivo実験に移行できない状況にあるため。また予備実験でのPD-L1欠損株を用いた実験に一時変更していたため、当初の予定より遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては卵巣癌細胞株におけるケモカイン受容体の発現を確認する方法を確立することと同時に、ケモカイン受容体欠損細胞株を樹立し、in vitroでの増殖能、遊走能の確認、およびin vivoでの腫瘍進展の評価および分子病理学的評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 前年度もCRISPR/Cas9 systemの構築のために予備実験に時間を割いたため、本実験に遅れが生じている状況である。そのため、使用目標金に到達しなかったと考える。
(使用計画) 今年度は本実験をすすめて行く予定であり、in vitroおよびin vivoのために費用を充填する予定である。
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