研究課題
本研究ではCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて、卵巣がん進展に関与する分子としてケモカイン受容体の遺伝子発現をノックアウトし、癌微小環境下における病態生理学的役割を解明し、卵巣がんにおける新規治療戦略を開発することを目的とした。その中で、卵巣癌進展に関与していると考えられるCCR5, CXCR4,CX3CR1の遺伝子改変用ベクターを構築した。前年度はCRISPR/Cas9 systemを構築するための予備実験において、マウス卵巣癌細胞株ID8に免疫チェックポイント機構のProgrammed cell death ligand 1 (PD-L1)の発現が確認されており、CRISPR/Cas9 system欠損マウス卵巣癌細胞株であるPD-L1 KO ID8を樹立し、卵巣癌進展における卵巣癌細胞上のPD-L1の機能を評価した。その中で、マウス卵巣癌の腹膜播種モデルではContral ID8株を移植したマウスと比べて、PD-L1 KO ID8株を移植したマウスでは有意に生存期間が延長することを実証し、CIRSPR/Cas9 systemを用いた遺伝子欠損株作製に成功した。これまで卵巣癌細胞株のケモカインの検出方法が確立していなかったため、最終年度では、マウス卵巣癌細胞株ID8のケモカイン受容体発現量を再評価した。real time RT-PCRではCCR5, CXCR4,CX3CR1の発現を確認した。またフローサイトメトリーではCXCR4の発現を確認した。その上で、ID8にCXCR4遺伝子改変用ベクターをトランスフェクト後、FACSで目的細胞をソーティングした。今後、single colonyとして継代して、CXCR4遺伝子欠損細胞株を樹立し、in vitro、iv vivoでの検討を行う予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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