研究課題/領域番号 |
17K16880
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
川崎 友之 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, リサーチアソシエイト (90751701)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生殖医学 / 幹細胞 / 胎盤 / 不育症 / 周産期医学 |
研究実績の概要 |
胎盤は受精卵に由来する羊膜と絨毛膜、そして母胎組織に由来する脱落膜から構成され妊娠5ヶ月までに組織発生的基盤が完成する。妊娠高血圧症候群や胎児発育不全等では胎盤の機能不全が指摘されているが、着床期から胎盤発生を対象に研究を進めるのは困難である。そこでヒト胎盤分化モデルが構築されれば胎盤発生段階的に分子レベルで組織機能と関連した解析が可能となる。本研究では、ヒト人工多能性幹(iPS)細胞から胎盤栄養外胚葉系のトロホブラスト分化誘導系を用い先天性感染症のin vitroモデルを構築する。これまで先天性疾患と関連づけれている感染症機序の研究だけでなく、本研究は、未知のウイルス感染と先天性疾患・奇形等正常発生を逸脱される研究を遅滞なく行う着床期/周産期のin vitroモデルとし本領域の発展に寄与したい。 ① ヒトiPSCからトロホブラストへの分化誘導法の構築 本研究に用いるヒトiPS細胞は、研究協力者により当研究センターで樹立され論文投稿済みである。ヒト多能性幹細胞からトロホブラストへの分化誘導は既報を用いる。ヒト胎盤の分化過程で特異的に発現するマーカーを選定し、それらの定量的発現を評価に分化誘導法の最適化を図る。トロホブラストのみでなく胎盤を構築する複数種の細胞種で構成され、組織機能(特定のホルモン分泌、糖の取り込みやガス交換等)を評価していく。最終的には、機能的胎盤(「ミニアチュア胎盤」)の作製を目指すが、本提案では病態モデル作製に注力する。本研究の発展性として、将来的には、本来の組織・臓器を模倣するモデルに近似するような構造体を作製するには、特定組織機能を有することが必須であり、そのためには立体組織構造体であるオルガノイド(複数種の細胞から構成され、組織構造を保ち機能を有するもの)を作製することで、in vitroモデル系のアプローチがヒト胎盤形成モデルとして汎用されると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPSCからトロホブラストへの分化誘導法の構築し、胎盤初期発生の分子メカニズムを解析が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
胎盤初期発生の分子メカニズムを解析していくため、発生段階から2 つの機能に絞り関連遺伝子動態を詳細に評 価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)試薬の納品が年度内に間に合わなかったため。 (使用計画)残金分は、消耗品費として使用する。
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