研究課題/領域番号 |
17K16883
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森田 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (80443951)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 耳鼻咽喉科学 / 外耳道癌 |
研究実績の概要 |
2017年度の研究計画は、外耳道癌組織における遺伝子変異および発現分子を網羅的に解析し、粘膜より発生する他の頭頸部癌との組織学的な類似性・相違性について検証を行うことであった。 解析に用いる臨床検体を集積するため、手術および生検時に採取してPAX固定標本とした。「外耳道癌」は希少疾患であるため多くの検体集積が困難であるが、現在までに15検体をPAX固定標本としてバイオバンクに登録できた。比較対象として扱う「粘膜より発生する他の頭頸部癌」の検体は既にPAX固定標本として保管している。年齢と性別は各群間で相違がないようにした。まず検体の一部を用いて免疫組織染色法によって発現分子を解析した。この手法では、「外耳道癌」および「粘膜より発生する他の頭頸部癌」のどちらにおいても、p53、EGFR、cyclin D1、p16、NOTCHの発現異常が一定数の検体で確認できた。このことから両者は組織学的な類似性・相同性を持つことが予測された。しかし、この手法は、手技が簡便で費用も安価で、実臨床においても導入が容易であるなど有用性が高い一方、抗原賦活の方法や抗体の種類によって染色性が異なること、評価基準が一定ではないことなどの短所に関しても指摘されている。現在、微小DNAにも対応できるようにIon AmpliSeq Cancer Panelを利用して特定の癌関連遺伝子をターゲットにしたアンプリコンを作成中であり、作成が終了次第、次世代半導体(Ion PGM)シーケンサーで塩基配列を決定し遺伝子変異解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外耳道癌は100万人に1人の希少疾患であるため、症例集積が困難であることが知られている。効率よく解析可能な一定数の検体を集積するのに時間を要したため、進捗状況がやや遅れるという結果になった。
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今後の研究の推進方策 |
一定数の検体を集積できたため、Cancer Panelを利用して遺伝子変異解析を行う。癌の発生や増殖、転移・再発、治療抵抗性などに関与している遺伝子変異および発現分子を予測した後に、治療の標的として考えられる分子を外耳道皮膚細胞株に形質導入し、細胞の機能変化(細胞増殖、腫瘍形成、浸潤)を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
別財源を出張旅費・物品購入費用に充てることが可能となったため、当初の予定より出費が抑えられた。 平成30年度は高額機器購入・海外学会参加の予定があるため、平成29年度より繰り越した直接経費がそれらに充てられる見通しである。
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