研究課題
本研究では13価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)が本邦の小児急性中耳炎に与えた影響を評価すべく平成29年度から東北労災病院において0-3歳児の急性中耳炎児の中耳貯留液から分離された肺炎球菌の収集を行っている。菌株の収集は平成29年度から平成30年度にまたがって行う計画であるが、平成29年度末時点で収集菌株数は50株に達し、目標である60-80菌株の約80%の菌株数の収集が完了している。菌株収集のペースは想定より早く進行しているが、東北労災病院での0-3歳児の肺炎球菌検出数は平成27年度、平成28年度はともに年間30菌株程度であったのが平成29年度に50株と増加しており、菌交代現象による肺炎球菌性の小児急性中耳炎の症例数増加が一因である可能性も考えられた。また、平成29年度に収集した菌株に対しては微量液体希釈法による薬剤感受性測定を行い、これを完了している。平成30年度は目標菌株数の到達へむけての菌株の収集を継続していく。また新たに収集した菌株に対して引き続き微量液体希釈法による薬剤感受性測定を行う計画である。また、平成30年度からは新たに収集した菌株の血清型の解析を開始する予定となっている。血清型解析はStatens Serum Institut社製の抗莢膜免疫抗体を用いておこなう莢膜膨化試験(Neufeld capsular swelling test)にて行う予定である。また、平成31年度に計画しているMultilocus Sequence Typing (MLST)による解析へむけて、収集した肺炎球菌菌株のDNA抽出も順次行っていく予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
平成29年度は菌株の収集と微量液体希釈法による薬剤感受性の測定を行う計画であったが菌株の収集においては平成29年度中に計画していた菌株数を上回る数の菌株を収集することができた。また薬剤感受性の測定に関しても平成29年度に収集済の菌株に関しては完了することができた。
平成30年度は平成29年度に引き続き菌株の収集と薬剤感受性の測定を行い、これを完了する予定である。また、平成30年度はさらに血清型の解析を開始する計画となっている。
(理由)平成29年度の研究計画が効率的に進行したことにより生じた未使用額のほか、平成30年度にまたがって継続的に行われる計画となっている薬剤感受性測定に使用する試薬購入費用の一部が未購入であることにより生じたものである。(使用計画)平成30年度にまたがって継続的に行われる薬剤感受性測定に使用する試薬購入費用に使用するほか、平成30年度の請求額と合わせて平成30年度に実施する計画となっている血清型解析の実施に必要な試薬の購入に使用する予定である。
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