研究課題/領域番号 |
17K16887
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小泉 優 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (80723585)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蝸牛 / 聴神経 / 器官培養 / 再生 |
研究実績の概要 |
現在、内耳再生に関する研究領域において聴神経の障害が注目されている。これまで感音難聴の成因に関する研究から、有毛細胞の障害が主な原因であると考えられていたが、近年になりいくつかの病態においては有毛細胞の障害よりも前に聴神経の障害(聴神経-有毛細胞間シナプスの障害)が起こっていることが確認されたためである。 本研究では蝸牛器官培養系を用いて聴神経障害モデル(聴神経線維および聴神経-有毛細胞間シナプスが障害され、聴神経の胞体および内外有毛細胞は残存している状態)を作製し、聴神経の再生を試みる。 wangらの報告を基に、NMDA 0.5 mMとKainic acid 0.5 mMの2種類の薬剤 (NK処理) を使用し、培養液中で2時間反応させることで聴神経障害モデルの作成を試みた。コラーゲンコートもしくはpoly-L-lysine+Lamininコートによる接着培養、コラーゲンゲルによる3次元培養、コーティングなしでの単純培養などの培養方法を用いて、聴神経障害モデルを作製したところ、いずれの培養方法においても、聴神経線維および聴神経-有毛細胞間シナプスが障害され、聴神経の胞体および内外有毛細胞は残存している状態が再現できた。 また、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有するとされるRho associated coiled-coil containing protein kinase (ROCK) 阻害薬を聴神経障害モデルに作用させることで、一度障害された聴神経が伸長している可能性が示唆された。 本年度の研究により、ROCK阻害薬が聴神経障害モデルにおいて障害された聴神経に作用する可能性が示唆されたため、シナプス形成に対する作用など、さらなる詳細を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではもともと長期培養の条件を用いて聴神経の再生について検討する予定であったが、1週間以上の培養では聴神経が脱落してしまう状態であった。しかしながら短時間で作用する薬剤の検索を行ったところ、短期培養での障害モデルの作製に成功した。当初の予定から変更となっているが、研究の継続は可能と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有するとされるRho associated coiled-coil containing protein kinase (ROCK) 阻害薬を聴神経障害モデルに作用させることで、一度障害された聴神経が伸長している可能性が示唆された。 本年度の研究により、ROCK阻害薬が聴神経障害モデルにおいて障害された聴神経に作用する可能性が示唆されたため、今後はこの実験系を用いて作製した標本を、主に免疫染色および共焦点レーザ顕微鏡により解析し、聴神経線維およびシナプスに対するROCK阻害薬の作用について、さらに詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) おおむね予定通りの支出であったが、消耗品などのための費用に若干の繰り越しを生じた。 (使用計画) 引き続き、培養実験の使用する細胞や培地などの消耗品、及び実験動物の購入、また学会発表や論文投稿の費用として使用する。
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