近年になりprimary neural degenerationという概念が提唱され、感音難聴の成因として聴神経の障害が注目を集めている。本研究では内耳蝸牛の器官培養系を用いて、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有するとされるROCK阻害薬の聴神経障害への効果について検討した。ROCK阻害薬はすでに臨床応用されている薬剤であり、内耳領域でも効果が確認できれば、比較的簡便で画期的な聴覚障害の治療法となる可能性がある。今後、蝸牛聴神経でのRhoA/ROCK経路の発現変化についての解析および、in vivoでのROCK阻害薬の効果についてさらなる検討が期待される。
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