| 研究課題/領域番号 |
17K16888
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| 研究機関 | 山形大学 |
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研究代表者 |
古川 孝俊 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (80466630)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 顔面神経麻痺 / 顔面神経再生 / 内視鏡下耳科手術 |
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| 研究実績の概要 |
我々の施設では耳科手術を内視鏡下に低侵襲・安全確実に行うことを世界に先駆けて行っている。内視鏡下耳科手術は通常の顕微鏡下耳科手術に比べて術後疼痛が少なく低侵襲であることを報告している（Kakehata et al. Otol Neurol. 2018）。それを応用して、2015年8月より高度顔面神経麻痺例にbFGFを使用した内視鏡下再生術を新たに開発して開始している（倫理委員会承認済）。内視鏡下に顔面神経管水平部を開放した後に、薬剤投与ルートとして鼓室内に連続するチューブを経外耳道的に留置し、連日bFGFを神経に直接投与している。手術時間が短く、骨削開を要さず、術後疼痛が少ないことが既に明らかになっている。現在約50例にまで症例数が増えている。麻痺改善への有効性が確かめられ、独自性と創造性に優れた手術として既に学会報告している（日本顔面神経学会パネルディスカッション、2018、シンポジウム2019、3nd world congress on endoscopic ear surgery 2019）。
ただし、基礎実験面では、bFGFの良好な神経回復がまだ証明できておらず、他の再生因子の方が有用である可能性も示唆されており、bFGF以外の再生因子の今後の臨床応用へ向けた取り組みも検討しないといけないと考えている。
また、現在行っている内視鏡下顔面神経再生術では、ドラックデリバリーシステムとしてチューブを用いているが、連日の薬液注入のため術後1週間の入院を要している現状である。一方、徐放基材を使用できれば更に低侵襲かつ短期間入院で行えるが、人への使用が認可された徐放用基材が必要となる。最近、研究連携者が徐放基剤と鼓膜再生の新たなアプローチを開発し、人への使用が認可された。現在、その基材の顔面神経再生への応用を目指して取り組みを行っている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
bFGFを用いた内視鏡下顔面神経再生術は、50例以上に施行し、有用性が確認できており、当初の目的は概ね達成している。一方、基礎実験では、IGF-1の投与により、コントロール群と比べて治癒率は有意に改善したことを報告し（J Physiol Sci, 2020)、bFGFよりもさらに有効性の高い再生因子である可能性が高いと考えている。
現在、新たな再生因子の臨床応用として、徐放基剤とIGF-1による低侵襲で効果の高い救済治療の開発を行う研究に取り組むことを目指しており、研究は新たな段階に入っている。
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| 今後の研究の推進方策 |
徐放基剤とIGF-1による低侵襲で効果の高い救済治療の開発と臨床応用を目指すにあたり、至適濃度を動物実験で確認し、安全性試験を経て、臨床応用できるように検討・研究を進めていきたいと考えている。同時に更に有効性の高い新規の候補再生因子がないかも同時に検討していきたいと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究成果をある程度出せているが、最終的な目的達成までは到達しておらず、次年度も科研費を用いた研究を継続する予定である。
今までの使用内容と同様の項目内容で研究費を使用する計画である。
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