研究実績の概要 |
これまで頭頸部癌病変におけるGGT活性検出蛍光プローブgGlu-HMRGによるイメージングにおいて、約半数(7/15)の症例で蛍光上昇があることを確認した。一方で、頭頸部癌切除検体を用いたRNAシーケンスによる発現解析でも約半数(4/9)においてGGT1が高発現し、それらの群ではPI3K経路が亢進していることも確認された。イメージングにおける蛍光上昇がRNAシーケンスにおけるGGT1高発現と一致し、PI3K経路の亢進につながっていると事を検証するために、切除検体のGGT1免疫染色の確認および培養細胞を用いた関連性の検証が必要と考えた。頭頸部癌由来培養細胞6種類(Detroit562, CAL27, SCC071, SCC25, BICR6, FaDu)に口腔正常粘膜細胞(HOK)を加えた7種で検証した。各細胞についてqPCRによりGGT1の発現を測定したところDetroit562においてのみ高発現を示し、他の細胞株では発現はわずかあるいは認めなかった。次にそれらの細胞株における蛍光イメージングを行ったところ、Detroit562においてのみ強い蛍光上昇がみられ、GGT1の発現と概ね一致した。また、Detroit562においてPI3K経路に関わるPIK3CAをノックダウンしたところ、GGT1発現が抑制されていることが確認された。これはすなわちGGT1がPI3Kの下流で制御を受けることが示唆された。
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