研究課題/領域番号 |
17K16900
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岩佐 陽一郎 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (10613002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先天性難聴 / 遺伝子 / ANSD / OTOF |
研究実績の概要 |
平成29年度は日本人難聴患者DNAデータベースより原因遺伝子が特定できていない優性遺伝形式をとる遺伝性難聴家系の患者207名に対する解析を行った。解析対象とする遺伝子は、hereditary hearing lossホームページ(http://hereditaryhearingloss.org/)を参照し、過去に優性遺伝形式をとる難聴との関連が報告されている27遺伝子を含む68遺伝子を対象にした。 Ion AmpliSeq Customを用いて、上記68遺伝子の全エクソン領域を増幅するプライマーセットを設計する。AmpliSeqを用いたマルチプレックスPCR法により難聴の原因遺伝子の全エクソン領域を増幅し、エマルジョンPCR を行ってビーズを調整し、 IonTorrentシステムを用いて次世代シークエンス解析を行った。 優性遺伝形式をとる遺伝性難聴の中で高頻度に見出されるKCNQ4のc.211delC変異は次世代シーケンスにて検出されないため、Taqman法を用いて変異の解析を行った。また、家系図からは母系遺伝と優性遺伝形式の判別がつきにくい場合もあるため、ミトコンドリア遺伝子変異(mit1555A>G、mit3243A>G)の解析もインベーダー法を用いて行っている。その結果、今回変異検索を行った207人中86名(41.5%)に少なくとも一つの難聴の原因となりうる遺伝子変異を認めた。 また、日本人難聴患者2550例を対象にOTOF遺伝子変異のピックアップと直接シークエンス法による変異の確認を進めた。現在、得られた成果を論文として取りまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
優性遺伝形式をとる難聴の原因遺伝子解析を行い変異スペクトラムを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、前年度までに実施した次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析のデータ解析をさらに症例数を増やして行う。見出された遺伝子変異に関しては、シークエンスエラーの可能性があるため、従来の直接シークエンス法を用いた確認作業を行い、変異の有無をダブルチェックする。また、直接シークエンス法により遺伝子変異が確認された場合には、家系内のサンプルの遺伝子解析を行い、遺伝形式と矛盾が無いことを確かめる。 次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析により明らかとなった難聴の原因遺伝子変異の種類ごとに、難聴の程度、難聴の型、めまいなどの症状の有無などの臨床像をとりまとめ詳細に検討を行う事により、遺伝子型と表現型の相関に関してその特徴を明らかにする。特に難聴の程度とその進行度合いは、治療法の選択に関わる重要な要素であるため、詳細に検討を行う。
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