研究課題/領域番号 |
17K16903
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
望月 大極 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40467246)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | RNAメチル化 / DNAメチル化 / methylation |
研究実績の概要 |
DNAメチル化などの可逆的な塩基修飾が、癌化機構など生物に多様な影響を与えていることが解明されてきている。当教室でも頭頸部癌領域のがん抑制遺伝子におけるDNAメチル化が癌化機構に関連しており、臨床的に予後不良であることを示してきた。RNAにもアデノシン6位窒素原子へのメチル基の付加反応(m6A)という塩基修飾が、DNAよりも動的に存在していることを受けて、癌とメチル化についてRNAでも研究をすることを主題として申請していた。 今年度もDNAメチル化については引き続き当教室で研究しており、頭頸部癌領域のNPY1R, NPY2R, NPY4R遺伝子の高頻度メチル化が独立した予後因子であることを示した(Misawa K, et al.Oncotarget 2017)。細胞株によるtotal RNA relative expressionに関しては先行研究として行い申請書にも記載していたが、新たに報告された他癌(腎細胞がん、子宮頸がん)ではm6A量及びRNAメチル化酵素であるMETTLE3が低下しているほど予後不良という報告であった。我々の細胞株実験ではそれに反する結果であったが、現在今年度予定していた臨床検体における癌部及び相当する非癌部において、m6A修飾関連酵素遺伝子群の定量的PCRにてRNAメチル化状況を調べている。 我々は80症例160サンプルの頭頸部癌患者におけるDNA及びRNA(cDNA)、腫瘍自体も冷凍保存している。引き続きサンプル採取を続けており、癌部及び相当する非癌部においてのRNAメチル化状況を調べ、RNAメチル化と癌化機構、癌抑制遺伝子との関連の知見を蓄積していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に行う予定であった研究内容は遅れている現状である。本研究と並行して行っている頭頸部癌におけるDNAメチル化解析に、予想外に時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
新たに報告された他領域の癌(腎細胞癌、子宮頸癌など)では、m6A量及びRNAメチル化酵素であるMETTLE3が低下しているほど予後不良という報告であった。本研究の申請書における研究計画で、頭頸部癌においてはどのような結果になるかが判明すると思われるため、予定通り進めていきたい。やや遅れてはいるが、サンプル自体は整っているため、最終年度までには平成29,30年度計画は実行可能と思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の研究計画の進行がやや遅れているため、分子生物学実験用試薬の購入が予定よりも少なかったため。平成30年、31年度内で現時点での遅れを遂行予定としているため、請求した助成金も今後使用予定である。
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