研究実績の概要 |
2018-2019年度において、同意を得た中咽頭癌患者10例から組織サンプル(生検または手術)と末梢血10mlを採取した。組織サンプルからp16免疫染色とTaKaRa PCR Human-Papillomavirus Typing Set によるHPV解析をおこなったところ, 全例HPV関連癌であった。末梢血から血漿を分離して、QIAamp MinElute ccfDNA Midi Kit (Qiagen,Valencia, CA)を用いて腫瘍循環DNAを抽出した。すべての症例で複数回採血を行っている。 HPV関連中咽頭癌患者のリキッドバイオプシーサンプルから腫瘍循環DNAを抽出し濃度を測定し、そのDNAを使ってHPVのPCRを行った。腫瘍がHPVポジティブの症例でも、血漿からはポジティブの症例、ネガティブの症例が存在することがわかった。つまり、腫瘍からの腫瘍循環DNAの中にHPVが存在するかどうかで、予後と関連する可能性があると予想された。 すでに、次世代シークエンサーを使った網羅的メチル化解析、mRNA解析で得られた、HPV関連中咽頭癌のメチル化マーカーを21遺伝子抽出し、予後と関連する遺伝子を8遺伝子抽出した。その8遺伝子を、腫瘍循環DNAにてメチル化解析をおこない、3遺伝子が腫瘍循環DNAでメチル化解析にて有効なマーカーであること、術前の腫瘍循環DNAでは高メチル化を認め、治療後腫瘍循環DNAのメチル化は低下し、再発病変を認めると早期にメチル化が上昇することがわかった。つまり、HPV中咽頭癌患者の腫瘍の状態に相関することがわかった。 現在、論文投稿中である。
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