研究課題/領域番号 |
17K16908
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
戸嶋 一郎 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80567347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / ILC2 / プロスタグランジンD2 / システイニルロイコトリエン / CRTH2 / CysLT1 / ハウスダスト / 好酸球 |
研究実績の概要 |
研究計画書にあった、FACSを用いて下鼻甲介粘膜におけるILC2を同定・分離し、アレルギー性鼻炎の有無による量的な違いを明らかにする、という項目について検討した。近年、ヒト喘息患者の末梢血中におけるILC2の割合を男女で比較すると、男性よりも女性の方がILC2の頻度が高いことが報告され、性ホルモンがILC2の頻度に影響することが示唆されている。したがって本研究においても男性のサンプルだけを用いて検討したところ、下鼻甲介粘膜におけるILC2の割合は、正常コントロール群と比較し、通年性アレルギー性鼻炎群で有意に高いという結果が得られた。また下鼻甲介粘膜のILC2におけるCysLT1受容体の発現をFACSを用いて検討したところ、正常コントロール群と比較すると、通年性アレルギー性鼻炎群で高い傾向がみられた。 アレルギー性鼻炎の初期炎症に関わるメディエーターのなかから、ILC2s活性化に関わる因子を明らかにし、ILC2sを介した好酸球遊走調節機構を解明する、という項目についても検討した。アレルゲン誘発テスト(右下鼻甲介にコントロールディスクを留置し10分後に右鼻腔洗浄液を回収、左下鼻甲介にハウスダストディスクを留置し10分後に左鼻腔洗浄液を回収)を行い、正常コントロールと通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻腔洗浄液中の各種ケミカルメディエーターを測定し比較検討した。通年性アレルギー性鼻炎群でtotal nasal symptom scoreが増加し、鼻腔洗浄液中の好酸球が増加した。またメディエーターではプロスタグランジンD2とシステイニルロイコトリエンだけが通年性アレルギー性鼻炎群で有意に増加していたが、IL-33やIL-25、TSLP、Eotaxin-1/-3には有意な増加がみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載していた項目のうち、複数の内容を検討することができ、またある程度の結果を得ることができた。上記の内容を日本鼻科学会や日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会などで発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度、平成30年度の結果から、「アレルギー性鼻炎におけるILC2を介した好酸球遊走調節機構」には、プロスタグランジンD2とシステイニルロイコトリエンを介したILC2からのTh2サイトカイン産生が特に重要であることが示唆された。さらに研究を遂行する上での課題として、アレルギーの有無でヒトILC2に質的な差があるか検討する必要がある。正常コントロールと通年性アレルギー性鼻炎から得られた末梢血由来のILC2を、プロスタグランジンD2やシステイニルロイコトリエンなどで刺激し、産生されるTh2サイトカイン量を測定する予定である。
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