通年性アレルギー性鼻炎患者の下鼻甲介粘膜におけるILC2割合は、正常コントロールと比較して有意に増加しており、また鼻粘膜中のILC2割合と浸潤好酸球数には正の相関がみられた。また鼻粘膜におけるILC2は、正常コントロールと比較し、システイニルロイコトリエン(cysLTs:LTC4、LTD4、LTE4)受容体であるCysLT1発現が増強していた。 ダニディスクを用いた鼻粘膜誘発テスト10分後において、通年性アレルギー性鼻炎患者では症状スコアが増悪し、鼻腔洗浄液中では好酸球数が増加し、プロスタグランジン(PG)D2とcysLTsの濃度が増加していたが、正常コントロールではこれらの増加は認められなかった。 ヒト末梢血由来のILC2を用い、ILC2を活性化する因子について広く検討したところ、PGD2とLTC4、LTD4、LTE4、IL-33、IL-25刺激によりILC2からのIL-5産生が増加した。 PGD2刺激によるILC2からのIL-5/IL-13産生は、CRTH2/トロンボキサン(TP)受容体阻害薬であるラマトロバンで抑制された。LTC4、LTD4、LTE4刺激によるILC2からのIL-5/IL-13産生は、CysLT1受容体阻害薬であるモンテルカストで抑制された。 以上の研究結果をまとめると、通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜ではILC2の割合が増加しており、鼻粘膜に浸潤する好酸球数と正の相関があった。またアレルゲン刺激10分後に鼻粘膜で産生が増加したPGD2やcysLTsにより、鼻粘膜のILC2は刺激され、IL-5/IL-13産生が増加することが明らかになった。そしてこのようなILC2からのIL-5/IL-13産生は、PGD2刺激がラマトロバンで、cysLTs刺激がモンテルカストで抑制された。アレルギー性鼻炎の病態において鼻粘膜におけるILC2は重要な役割を果たしている。
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