甲状腺未分化癌は非常に悪性度の高い癌のひとつであるが、その性質はあまり解明されていない。我々は未分化癌の特徴としてマクロファージが多いということに着目した。 昨年度に引き続き、未分化癌、濾胞癌、低分化癌、乳頭癌のヒトのホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて免疫染色を行った。症例により多いものやそうでないものがあるため今後も個体数を増やし検討する必要がある。 また、甲状腺癌の細胞株を新たに取得した。それらをマウスに移植し、その腫瘍においてマクロファージが多いかどうかの検討も行った。細胞の種類によってはあまり生着しないものもあり移植の際にマトリジェルを使うなどの工夫も必要であった。また種類によって生着までの時間がかかるもの、生着しないものもあった。できた腫瘍を摘出しフローサイトメトリーでマクロファージの割合を確認した。同じ未分化癌でもマクロファージが多くみられる腫瘍とそうでない腫瘍があった。今後も数を増やして検討が必要である。 甲状腺未分化癌の網羅的遺伝子解析を行うため、未分化癌やその他の組織(乳頭癌、濾胞癌)の細胞株を用いてRNAシーケンスを行ったが、次世代シーケンスの設備不良もあったことから実験が滞っていた時期もあり予定通りには進まなかった。引き続き行っていく。また、ヒトの検体も集めてシーケンスも行えるように準備をすすめている。未分化癌は頻度が非常に少ないため多施設での収集もできるよう準備をすすめている。
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