研究課題/領域番号 |
17K16915
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武本 憲彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20636485)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HPV陽性中咽頭癌 / RNAシークエンス |
研究実績の概要 |
研究開始時、当教室で凍結保存している中咽頭癌検体はHPV-DNA陰性p16陰性中咽頭癌検体は43検体、HPV-DNA陽性p16陽性中咽頭癌検体は40検体、HPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体は7検体であった。合計90検体のRNA抽出を行ったが、抽出RNAのクオリティチェックをしたところ解析不可能のRNAが50検体あり、解析に耐えうる検体は40検体であると判断した。さらにこれら40検体に関してrRNA Depletion kit、Poly(A) mRNA Magnetic Isolationを用いて各々の検体のcDNAライブラリーを作成した。最終的にライブラリー化した内訳としてはHPV-DNA陰性p16陰性中咽頭癌検体は21検体、HPV-DNA陽性p16陽性中咽頭癌検体は15検体、HPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体は4検体であった。HPV-DNA陽性p16陽性中咽頭癌検体とHPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体を対象にRNA-seqをMacrogen社に依頼し、次世代シーケンサーのplatformとしてGS-FLXを使用した。現在シーケンス結果解析中であるが、シーケンスクオリティースコアが10未満の検体が4検体あり、HPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体が1検体含まれていた。また、残りのHPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体3検体のうち、p16蛋白のコード遺伝子であるCDKN2Aの発現が1検体は確認できず、リアルタイムPCRでもCDKN2Aの発現は2検体にしか確認できなかったため、実際のシーケンスの解析対象としてはHPV-DNA陽性p16陽性中咽頭癌検体は12検体、HPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体は2検体を対象として解析を進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
凍結保存していた全検体のRNAクオリティ精査を複数回にわたり行い、最終的にRNA-seqに使用できる検体を綿密に明らかにするための時間が非常にかかった。シークエンスクオリティスコアのスコア検定を複数回行ったことや、対象検体全てにCKDN2A発現確認をリアルタイムPCRで行ったことで時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
結果的にRNA-seq解析が可能であったHPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体は2検体のみであったため、新たな検体追加が必要とされている。RNAクオリティを維持するため検体採取後のストックはRNA laterを用いて行うようにしている。また当初はHPV-DNA陰性p16陰性中咽頭癌検体はRNA-seqの対象としない方針であったが、まずHPV-DNA陰性p16陰性中咽頭癌検体、HPV-DNA陽性p16陽性中咽頭癌検体を対象としたシーケンスの比較解析を先行して行い、HPV-DNA陰性p16陽性中咽頭癌検体の数が増えた時点で上記2者のprofilingの結果に追加比較を行うこととして計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度に行ったRNA-seq解析では検体数が乏しく、新たな追加検体が調達できるまで予想以上に時間を要してしまい、その後に施行予定であった解析が行えなかったため未使用額が生じた。 (使用計画)既存のHPV-DNA陰性p16陰性検体も解析対象として加え、さらに新たに得られるであろうHPV-DNA陰性p16陽性検体の数が十分量に達すれば追加でRNA-seq解析を行うこととし未使用額はその経費に充てたい。
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