頭頸部扁平上皮癌培養細胞株Fadu、Detroit562を用いて、MCT4の発現をウェスタンブロッティングにより確認した。上記細胞株を用い、CRISPR/Cas9(Clustered Regularyly Interspaced Short Palindromic Repeats/CRISPR-associated)システムによるMCT4遺伝子ノックアウトを試みた。MCT4(monocarboxylate transporter 4)ノックアウト株の樹立はFaduで1株のみ可能であった。MCT4ノックアウトはウェスタンブロッティングおよびDNAシークエンスにより確認した。MCT4ノックアウトについて、DNA切断部位はガイドRNAで設定していた目標部位で達成されていたが、切断部位に挿入を計画していた薬剤耐性遺伝子(ノックアウト株をセレクションするための耐性遺伝子)は挿入困難であった。 樹立したMCT4ノックアウト株(Fadu)およびcontrol株を用い、細胞増殖能および放射線感受性をMTTアッセイおよびコロニー形成アッセイを用いて評価した。 MCT4ノックアウトによる細胞増殖能および放射線感受性への明らかな影響は認めなかった。 今回の実験で、MCT4ノックアウトによる細胞増殖能の低下や放射線感受性の増加は、in vitroでは認めなかったが、xenograftモデルなどを用いることにより、より生体環境に近い条件で検討する必要があると考える。
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