研究課題/領域番号 |
17K16919
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村井 綾 岡山大学, 大学病院, 医員 (00780834)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 嗅覚障害 / 再生医療 / 軸索変性 / 軸索ガイダンス因子 |
研究実績の概要 |
異嗅症は本来の匂いと違った匂いとして感知する嗅覚障害の一つである。他の嗅覚障害に比較すると一般に予後不良である。異嗅症のメカニズムとして、我々は嗅細胞を広範に障害すると新生した細胞が投射異常を起こすことを明らかにした(Murai, et al,2016)。発生期の嗅細胞軸索は複数の軸索ガイダンス因子の作用により嗅球の特定の領域へと投射する。軸索ガイダンス因子の一つSemaphorin3A(Sema3A)は、リガンドであるNeuropirin1を発現している嗅細胞軸索に対して反発する作用をもつ。しかし発生期以降には軸索ガイダンス因子は発現していない。初年度にはこのSema3Aを嗅細胞障害後に鼻腔内投与し、新生した嗅細胞の正常な投射に寄与するかを検討することを予定した。使用する遺伝子組み換えマウス2系統は当大学で初めて使用することとなったため、OMP-GFPマウス(成熟嗅細胞の膜タンパクにGFPを標識している系)は海外から購入し、MOR29ABマウス(嗅覚受容体MOR29AとMOR29Bに蛍光標識を組み込んだ系)は他施設より移送したため、約半年間の準備期間を要した。また申請者の休業により初年度の研究目標は達成できなかった。本年度はこの変異マウスの繁殖と系の確立が中心となったため次年度、本年度予定した検討を行うとともに新生嗅細胞軸索の継時的変化の観察を加え、投射異常の修復のメカニズムの検討を行う。この修復メカニズムの解明は異嗅症だけではなく、他の神経過誤支配によって惹起される疾患に対する将来の再生医療に役立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の休業により3ヶ月弱の研究断念を余儀なくされたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は変異マウスの繁殖と系の確立が中心となったため次年度は本年度予定した検討を行うとともに新生嗅細胞軸索の継時的変化の観察を加え、投射異常の修復のメカニズムの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者の休業により一部計画を次年度に繰越したため残額が生じた。 使用残額は試薬などの消耗品費購入のために使用する予定である。
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