【目的】好酸球性副鼻腔炎は鼻茸形成やムチン貯留などを来す炎症性疾患である。中等症以上の好酸球性副鼻腔炎は指定難病となっており、その病態解明や根治 的治療法の開発は急務である。今回は、好酸球性副鼻腔炎の局所粘膜に発現するIgG4陽性細胞の意義について検討した。 【方法】好酸球性副鼻腔炎の患者より鼻茸を採取した。好酸球性副鼻腔炎患者はJESREC基準により、軽症、中等症、重症に分類した。対照として非好酸球性副鼻 腔炎患者由来の鼻茸、鼻茸を合併しない副鼻腔炎患者由来の鉤状突起、非副鼻腔炎患者由来の鉤状突起を採取した。抗IgG4抗体による免疫染色を施行し、一視野 (HPF)あたりのIgG4陽性細胞数を測定した。さらに組織浸潤好酸球数やCTスコア、術後経過など臨床徴候との相関を検討した。 【結果】鼻副鼻腔粘膜において、IgG4陽性細胞は主に浸潤単核細胞に発現した。鼻茸、特に好酸球性副鼻腔炎患者由来の鼻茸では、鉤状突起粘膜に比較してIgG4 陽性細胞数が有意に高値を示し、特に重症好酸球性副鼻腔炎患者由来の鼻茸で顕著であった。鼻茸において、IgG4陽性細胞数は組織および末梢血好酸球数と有意 な正の相関を示した。CTスコアや血清総IgE量に対しても有意な正の相関を示した。さらに術後経過不良群では良好群に比較してIgG4陽性細胞数は有意に高値を 示した。ROC解析により、IgG4陽性細胞数のカットオフ値を一視野あたり17個に設定すると、感度73%、特異度83%で術後経過を予測できることがことが判明し た。
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