研究課題
唾液腺腺様嚢胞癌7例の検体を用いてオルガノイド培養(3次元培養)を行い,5例において癌組織から培養が可能であった。また,その内2例において,培養したオルガノイド(癌細胞)を免疫不全マウスの顎下腺に同所性異種移植を行ったところ,1例において組織学的に再現性の高い腫瘍形成を認めた.ヒト唾液腺腺様嚢胞癌組織を免疫不全マウスの皮下に直接移植し,5例で腺様嚢胞癌のPDX(Patient-Derived Xenograft)の作成を試みて,2例で作成に成功した.さらに2例のPDXそれぞれから癌細胞を取り出しオルガノイド培養し,2例とも培養に成功している.この2例のPDX由来のオルガノイド細胞株を、免疫不全マウスに同所性異種移植したところ、原発腫瘍と比べて組織再現性の高い腫瘍を形成した。特にそのうち1例では、腺様嚢胞癌で特徴的に報告されているMYBL1-NFIBの融合遺伝子を有しており、RT-PCRでそのPDXとPDX由来オルガノイド細胞株からもその融合遺伝子を検出できている。ただし、ヒト唾液腺腺様嚢胞癌由来オルガノイド細胞株と,PDX由来オルガノイド細胞株はどちらも増殖が遅く、PDXから取り出して10回程度の継代で増殖が落ちてゆくという問題点を認めた。そこで、追加実験としてPDXから取り出して早い段階でシスプラチンなどを用いてIC50の薬剤評価を行った.結果は,PDX由来オルガノイド細胞株は,既存の扁平上皮癌に比べてIC50が高く,こうした唾液腺癌に対するシスプラチンの有効性の低さはこれまで臨床的傾向に矛盾しない結果であった.
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