研究課題/領域番号 |
17K16955
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
高橋 静 弘前大学, 医学研究科, 助教 (00747925)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 網膜色素変性 / 光干渉断層計 / 視細胞 / カルパイン |
研究実績の概要 |
申請者の所属する研究室では最近、網膜視細胞変性モデルラットの網膜において視細胞変性の進行とともにカルパイン活性が上昇していることを見いだした。さらに予備実験においてラットミトコンドリアカルパイン1を特異的に阻害するペプチドを開発し、これを網膜色素変性モデルラットに点眼投与したところ、視細胞変性が遅延するという結果を得た。本研究ではその結果を受けて、光干渉断層計(OCT)による観察によってカルパインペプチド点眼投与ないし他の局所投与による視細胞変性効果を可視化できるかどうか、またはカルパインペプチドの視細胞保護効果がOCTによっても証明できるかどうかを明らかにすることを目的としている。 当該年度ではまず、網膜色素変性モデルラットのうち、ロドプシンP23HおよびS334terという2系統のトランスジェニックラットを用いて、視細胞変性の自然経過をOCTによって明らかにして、治療介入の基準となる対照の画像を得ることを目的とした。P23Hラットは変性の進行が緩やかであるため、生後20日から260日まで経時的に網膜変性過程をOCTにより観察した。一方、S334terラットは変性の進行が速いので生後13日から110日までOCTにて観察して、さらにOCT画像の組織学的裏付けのために、適当な日齢の時点でそれぞれの群において光学顕微鏡所見と電子顕微鏡所見を観察した。その結果、両群とも網膜変性とくに視細胞変性の進行につれて、OCTによる視細胞層の所見に明らかな異常を認めた。さらにその変化が視細胞外節および内節のどのような形態変化であるのかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずは何も処理していない自然経過についてOCTによる所見が明らかになったので、次年度においてカルパインペプチドを実際に投与して、自然経過とどのような差異を生じるのかを判定することができるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
点眼などによるカルパインペプチドの局所投与によって、今回明らかになった網膜変性の自然経過がどのように修飾されるかを観察する計画である。
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