研究課題/領域番号 |
17K16961
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
北村 一義 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80535617)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 眼科遠隔診療 / 医療過疎の改善 |
研究実績の概要 |
眼科医数の不足や眼科医の都市部への集中による偏在が問題となっており、患者の存在する現地に眼科医が存在しないケースが非常に多い現状である。そのため眼科診療の最も重要な検査機器である細隙灯顕微鏡を遠隔地から操作できる眼科遠隔診療ロボットシステムを開発し、医療過疎、特に専門医医療過疎を解消し、社会福祉向上に貢献することが今回の目的である。現在すでに作成している眼科遠隔診療ロボットを用い下記の点に関して研究を進めた。 1)診断能力の検討:通常の細隙灯顕微鏡をコントロールとして眼科遠隔診療ロボットの診断能力を比較検討した。眼科診断の正確性、迅速性を下記の対象者を用いて検討する準備を行った。a)正常対象者を用いた検証、b)病状が安定した入院患者を用いた検証 2)診療の共有化システムの開発:通常の対面診療を基準として、眼科遠隔診療ロボットを用いた場合の患者側の診療内容の理解と医師側の理解の一致性の検討を行い眼科遠隔診療ロボットを用いた診療によって対面診療と同等な患者説明が可能であるかを検討した。 3)通信環境による操作性の確認:通信帯域を最大の30Mbpsから減少させた際の操作性、診断能力を検証し、必要な帯域量を確定する。さらに帯域を減少させた際の診療レベルの低下を防止するための装置開発の開発を進めた。 4)得られた診療情報の定量化:本装置によってデジタル化された診療情報の解析によって病変部の定量化を行うシステムの開発を進めるとともに、これらのデータを電子カルテ内に取り込み可能とする準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
通信環境の整備、人を対象とした検証に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
上記内容に関して引き続き準備を進めると同時に下記の点も検証する。 1)平成30年度に引き続き診断能力の検討:通常の細隙灯顕微鏡をコントロールとして眼科遠隔診療ロボットの診断能力を比較検討する。眼科診断の正確性、迅速性を下記の対象者を用いて検討する。a)外来患者を用いた検証、b)救急患者を対象とした検証 2)通信環境による操作性の確認:通信帯域を減少させた際の診療レベルの低下を防止するための装置開発をさらに進めるとともに通信帯域の優先確保のためのシステムの開発を進める。以上によって安定した診療が可能となる条件を設定する。 3)現有機では眼底の観察が困難であるため眼底観察が可能となるような装置の改良を進める。 4)装置全体の軽量化、操作性の向上を進め、汎用性を高めるための改良を行う。 5)複数地点からの操作が可能なシステムを開発し複数の専門医による遠隔診療カンファレンスが可能な装置を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
検証の準備に要する金額が予定より少なくなり未使用金が生じた。 次年度に未使用金も合わせて計画内容の検証を継続していく。
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