研究課題/領域番号 |
17K16964
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
高山 圭 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 講師 (10735947)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 網膜色素上皮 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
いままでの研究にて、青色光照射により網膜色素上皮で酸化ストレスが生じること、細胞の防御機構としてNRF2が作用していることは解明した(Takayama K.Oxid Med Cell Longev. 2016;2016:8694641.)。酸化ストレスによって細胞に炎症反応が惹起されることは多数報告されているが、臨床においても、青色光照射が原因の一つとして指摘されている加齢黄斑変性において、酸化ストレスが発症に関与し抗酸化サプリメントの内服で酸化ストレスが減少することを報告した(Matsuura T, Takayama K, Oxid Med Cell Longev. 2017;2017:9548767. )。 そこで、青色光照射によって惹起された酸化ストレスがどの様な経路をたどり炎症反応となるのかを評価している。網膜内にて炎症に強く関与することが知られているマイクログリアの形態変化や硝子体内サイトカインの変化を評価するとともに、同様に炎症反応に関与すると報告されている硝子体内オステオポンチンを測定する等、青色光照射での酸化ストレスと炎症の関連を調査している。 また、糖尿病網膜症があると加齢黄斑変性の発症の可能性が低い可能性が疫学調査で報告された(S Srinivasan. Eye(Lond)2017 Aug;31(8):1176-1183.)当教室で実験に使用している糖尿病モデルマウス(AKITAマウス)を用いることで、糖尿病を有した場合の青色光照射による酸化ストレスの発生の変化を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究として加齢黄斑変性に関する論文を2報発表した(Takeuchi J, Kataoka K, Ito Y, Takayama K.Ophthalmologica. 2018 Epub ahead of print)(Takayama K. PLoS One. 2017 May 3;12(5):e0176100.)。また、炎症と酸化ストレスに関与する論文として1報発表した(Yasuda M, Takayama K.PLoS One. 2017 Oct 2;12(10):e0185305.)。また、国内学会では網膜と炎症に関与した報告を自分で1回、共同で3回報告している(第121回日本眼科学会総会および第122回日本学会学会総会)。 以上から、加齢黄斑変性を含めた網膜と酸化ストレスについての臨床報告は十分実施できていると考えられるが、基礎研究としての成果はこの1年では発表はなく、現在の研究の進行状況としてはやや遅れていると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、臨床に関与することは現状の調子で発表・論文を発表していく予定である。基礎研究として、網膜内のマイクログリアの形態変化・数量変化を評価すること、硝子体内サイトカインの照射による変化を評価するとともに、同様に炎症反応に関与すると報告されている硝子体内・網膜内のオステオポンチンを計測する予定である。 また、短期間であるが、眼内炎症とマイクログリアの専門家である、Queen's University BelfastのXu Heping教授の元に留学・研修することで、海外の最新の眼内炎症の知見を得るとともに、光照射による酸化ストレスと炎症反応の機序の詳細な解明を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において、自分ですべて実験・研究を行ったため、人件費は不要となった。来年度以降、必要に応じて研究助手等を雇用することで実験の結果をだす速度を向上させる予定としている。
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