研究課題/領域番号 |
17K16968
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 進 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00536956)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TFAP2B / 角膜内皮 / 角膜 / 転写制御 |
研究実績の概要 |
角膜内皮に発現する遺伝子群の網羅的な遺伝子発現解析CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)によって、POU6F2、LMX1BおよびTFAP2Bは角膜内皮に特異的に発現する転写因子であることを報告したデータに基づいて、RNA干渉を用いてTFAP2Bを発現抑制するとLMX1Bの発現が顕著に変化し、角膜内皮に特異的に発現する転写因子同士で、転写制御できうる可能性が示唆された。さらに、TFAP2Bは炎症応答性転写因子であるSTAT3も発現調節することが示唆された。そこで角膜内皮におけるSTAT3の機能解析を実施すると角膜内皮の恒常性維持やバリア機能などに重要な因子であることが明らかになった。 我々は、これまでにTFAP2Bに対するRNA干渉法を用いて角膜内皮細胞の増殖に関与することを明らかにしてきたが、TFAP2Bの発現調節に関与する低分子化合物やサイトカインなどについて培養角膜内皮細胞の性質にどのような影響を与えるか細胞増殖アッセイと定量PCRを用いてTFAP2Bとの発現量によって検証した。その結果、上皮間葉転換に関与する因子を添加するとTFAP2Bの発現が減少し、線維芽細胞様の形態変化を伴う細胞増殖能の異常な亢進が認められ、TFAT2B発現調節と上皮間葉転換との関与が示唆された。 本研究によって、角膜内皮におけるTFAP2B遺伝子の制御機構は、角膜内皮の恒常性維持や分化機構に関与し、複数の経路によって転写調節しることが示唆され、TFAP2Bを介した角膜内皮の生理機能への関与が明らかになるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、おおむね予定通りに進捗し、TFAP2Bの発現制御に関する新しい知見を得たため、引き続きその制御機構の解析を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、TFAP2Bの転写制御機構を明らかにし、学術論文の投稿および関連学会にて発表する予定でる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題から、角膜内皮におけるTFAP2Bの制御機構は、複数の因子によって制御されていることが明らかになってきたため、次年度に延長した。主に、これらの因子の個別のプロモーター解析等の物品費に用いて、TFAP2Bの機能解析を進める。
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