研究課題
生体リズムの同調には網膜への光刺激が最も重要である。その光受容は光感受性網膜神経節細胞(ipRGC; intrinsically photosensitive retinal ganglion cells)が担うため、緑内障において生体リズム障害が生じている可能性が示唆されている。実際に睡眠障害・うつ症状・認知機能障害等の生体リズム関連疾患と緑内障の関係が報告されている。緑内障は早期の時点で網膜神経節細胞が半減している可能性が示唆されていることから、早期緑内障から生体リズム障害が生じていることが予想される。しかし緑内障と生体リズムに関する先行研究はサンプルサイズの小さなものが多く結果の一般化は困難である。本応募研究の目的は、奈良県在住の地域住民を対象とした大規模前向きコホート研究の参加者に眼科検査(視力・眼圧・視野検査・ステレオ眼底写真等)と多面的な生体リズム検査・疾病調査を行い、極早期・早期緑内障と生体リズム指標やその関連疾患との関連を明らかにすることである。平成30年度は予定対象者数よりもやや少ない実施状況であるが、ステレオ眼底検査および視野検査を含む眼科検査などの主要項目の測定を行うことができた。また本年度に研究代表者が共著者である論文が英文科学誌に採択・掲載された。緑内障や白内障といった光受容の低下をきたす眼疾患が健康に及ぼす影響を明らかにしたこれらの研究成果は、本応募研究の目的である早期緑内障と生体リズムの関連を検討する上で重要なものであると言える。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度は350名について眼底検査および視野検査を含む眼科検査などの主要項目の測定を行うことができた。全体としておおむね当初の計画通りに調査・測定が進展していると考えられる。また、本研究の目的を達成するために必要な複数の論文を科学誌に採択・掲載されたことは評価できる。
前年度同様に大規模前向きコホート研究の参加者に講演会などを行い研究への参加同意を得て、眼底検査および視野検査を含む眼科検査などの主要項目の測定を行う。また、平成30年度に測定したデータの整理を実施する。
当初予定の対象者数より若干少なく残金が発生した。次年度は当初研究計画の2年目目標対象者数を若干上方修正し、次年度に研究費繰越金を使用して実施する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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