研究課題
生体リズムの中枢は視交叉上核にある体内時計(biological clock)であり、その制御には網膜に存在する光感受性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal ganglion cell:ipRGC)が重要な役割を果たしていることが知られている。緑内障の本態は網膜神経節細胞死であることから、緑内障患者におけるipRGC障害の可能性が報告されている。そのため緑内障患者では生体リズム障害を生じていることが示唆されているが結果の一般化には至っていない。本応募研究の目的は、奈良県在住の地域住民を対象とした大規模前向きコホート研究の参加者に眼科検査(視力・眼圧・視野検査・ステレオ眼底写真等)と多面的な生体リズム検査・疾病調査を行い、極早期緑内障と生体リズム指標やその関連疾患との関連を明らかにすることである。最終的に本年度を含めて879名の参加者に対して眼科検査を実施できた。また初期対象者の主要評価項目(睡眠障害・うつ症状・認知機能障害・メラトニン分泌)と極早期緑内障との関連を解析出来た。本年度に研究代表者が共著者である論文3報が英文科学誌に掲載された。緑内障や白内障といった非視覚的な光受容低下をきたす眼疾患が健康に及ぼす影響を明らかにしたこれらの研究成果は、本応募研究の目的である早期緑内障と生体リズムの関連を検討する上で重要なものであると言える。本年度に我々が報告した本研究とは別の臨床研究からの知見、緑内障患者における夜間血圧上昇は本研究の土台となる研究成果である。
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