研究課題/領域番号 |
17K16990
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
石井 俊行 日本医科大学, 医学部, 助教 (10643140)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | P2X受容体 / 網膜電図 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、P2X受容体の網膜における視覚情報処理に対する役割を解明することを目的としている。P2X受容体は、P2X1からP2X7までの7つのサブタイプが知られており、網膜内にすべてのサブタイプの発現が認められている。しかしながら、いずれのP2X受容体サブタイプが網膜内のどの部位で視覚情報の伝達に関与しているのかは未解明である。これまでに申請者が行ったP2X受容体に対する非選択的アンタゴニストを用いた検討により、P2X3受容体が視覚情報の修飾に関与していることが推定された。そのため、網膜電図を用いてP2X3受容体の網膜機能への影響を検討したところ、b波及びOP波に減少が認められた。このことから、P2X3受容体が視覚機能へ関与していることが示唆された。また、本研究に用いる動物種であるマウス網膜におけるP2X3受容体の分布の詳細が不明であったことから、免疫組織化学にて検討したところ、外網状層及び内網状層に免疫反応が認められた。P2X3受容体を発現し視覚情報の伝達に関与する細胞種を同定するため、網膜電図にてb波の形成に関与する双極細胞へ、P2X3受容体アゴニストを作用させたときの電流応答をパッチクランプ法にて検討したが、反応する細胞はみられなかった。しかしながら、網膜から脳へ情報を伝達する役割を担う、網膜神経節細胞の光刺激時の応答について、活動電位の発生する頻度がP2X3受容体アンタゴニストの投与により変化する細胞が認められた。これらの一部の結果については学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P2X3受容体アンタゴニストを用いた網膜電図による検討において、その詳細データが得られたこと、免疫組織化学にてP2X3受容体の分布が明らかになったこと、神経節細胞の光刺激時の反応に影響がみられる細胞が確認されたことから、1年目としては順調に研究を推進することが出来たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
P2X3受容体を発現し視覚情報の伝達に関与する細胞の同定について、双極細胞にはいくつかの種類があるため、未検討であった種類の双極細胞を検討するとともに、網膜電図でOP波に変化がみられたことを考慮し、アマクリン細胞や神経節細胞も含めて検討を進める。免疫組織化学については、抗体の特異性の確認及び再現性を確認する予定である。また、ノックアウトマウスを用いた検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に用いる記録用の機器の老朽化に伴う代替え機の購入に多くの予算を費やし、ノックアウトマウスの購入が出来なかったことから、次年度使用額が生じた。次年度にはそのノックアウトマウス及び実験に用いる試薬を購入する予定である。
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