研究課題/領域番号 |
17K16991
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
柴田 奈央子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20534647)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ヒト翼状片線維芽細胞 / MMP9 / KRT24 / αSMA / Prdx6 |
研究実績の概要 |
H29年度に計画したヒト翼状片のグレード別、部位別のMMP9,KRT24発現変化については、MMP9はコントロールを1とした場合、翼状片頭部で753、翼状片体部で1075と多くのMMP9の発現を認めた。翼状片頭部と体部両方で発現は上昇しており有意差はなかった。翼状片グレード別においても全てのグレードで発現は上昇しており有意差はみられなかった。 KRT24はコントロールを1とした場合、翼状片頭部で954.9、翼状片体部で195.4と頭部で有意に発現していた。また、翼状片グレード別においてグレード1で有意に発現が上昇していた。 H29年度に計画した角結膜上皮細胞における遺伝子変化については、ヒト翼状片組織の採収は同意を得て、ヒト初代翼状片線維芽細胞の樹立に成功した。細胞形態はヒト培養結膜線維芽細胞の形態と類似し紡錘形をしており増殖力に長けていた。このヒト翼状片線維芽細胞へ紫外線(UVB)照射実験を行いKRT24とMMP9の発現をPCRにて検討した。結果、MMP9は紫外線照射強度に準じて発現の亢進を認めた。KRT24においては発現がみられなかった。これらの特徴はヒト培養結膜線維芽細胞と類似しており、今後翼状片研究を進めていく上で翼状片培養細胞は病態解明に活用可能である。また、MMP9をノックアウトした細胞の作製のため、ヒト翼状片線維芽細胞にsiRNA-MMP9をトランスフェクションし上皮間葉系移行に関与するalpha-smooth muscle action (αSMA)と酸化ストレスに関与するperoxiredoxin (Prdx) 6の発現をPCRにて検討した。結果MMP9抑制によりMMP9を抑制するとαSMAやPsdx6の発現も抑制される傾向にあった。このことはMMP9抑制により他の遺伝子を同時に抑制でき翼状片発症伸展を予防できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って実験が遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
ノビレチンの新規フラボン誘導体のうちすでに合成が完了している30種類の新規フラボン誘導体を用い、MMP阻害作用を検討しフラボンの構造活性を明らかにする。 さらに、上記でスクリーニングしたノビレチンの新規フラボン誘導体を細胞に投与し、MMP9抑制効果および細胞死抑制効果、EMTに対する影響を観察、測定を行い翼状片予防薬の開発に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験の一つを次年度にもう一度することになったため、試薬を購入する必要が生じた。
|