研究課題/領域番号 |
17K16993
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
坪井 孝太郎 愛知医科大学, 医学部, 助教 (00746076)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 意図的毛様体解離 / 低眼圧モデル / 毛様体解離 |
研究実績の概要 |
家兎に対して、意図的毛様体解離を作成し、眼圧下降効果を評価した。光順応により眼圧の安定化を行なった家兎(6羽)を対象に、右眼のみ意図的毛様体解離を作成した。全例0.05ml、ヒーロンVを用いて毛様体解離を作成し、術後の眼圧推移を計測した。術前の平均眼圧はRT=17.2mmHg、LT=17.7mmHgと両眼で有意差は無かった(p=0.3341)。術翌日の眼圧はRT=13.2mmHg、LT=18mmHg、術2日目の眼圧はRT=9.7mmHg、LT=18.3mmHgと術眼で有意に(それぞれp=0.0101、p=0.0038)眼圧低下を認めた。術後1週間の眼圧はRT=11.4mmHg、LT=16.2mmHgと術眼で有意に低下(p=0.0370)を認めていたが、術後2週間の眼圧はRT=12.3mmHg、LT=14.8mmHg、術後1ヶ月の眼圧はRT=14.4mmHg、LT=16.7mmHgと両眼で有意差は無かった(それぞれ、p=0.0637、p=0.1986)。前眼部OCT検査では毛様体解離を認めたが、剥離の大きさと眼圧低下に相関は認められなかった。強膜創からヒアルロン酸ナトリウムを注入することで、容易に意図的毛様体解離を作成することが可能であった。意図的毛様体解離を作成することで、有意な眼圧下降が得られた。また低眼圧黄斑症にいたる遷延する低眼圧は生じなかった。また隅角解離を伴わない毛様体解離のみで眼圧下降が得られるという知見が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
摘出豚眼、兎眼において作成できた意図的毛様体解離を、実際の家兎においても作成することができた。実際の作成手技は先行実験と概ね同様の手技で行うことができ、手技的な問題点は少ないと思われた。術後の眼圧下降の観察においても、術眼の有意な眼圧下降を得ることが出来た。今回作成に使用した0.05mlヒーロンVでは極度の低眼圧や低眼圧黄斑症に至る遷延した低眼圧は生じなかった。一方で、毛様体解離は約1ヶ月しか効果が持続しないことが確認された。また処置後の毛様体解離の定量的評価法として使用した前眼部OCT検査では毛様体解離の大きさは測定可能であったが、範囲の測定は困難であることが分かった。
|
今後の研究の推進方策 |
意図的毛様体解離術による眼圧下降効果を持続可能な剥離物質(現在はヒアルロン酸ナトリウムを使用)の検討が必要である。また剥離範囲のコントロールによる眼圧調整が可能であるかの検討のため、剥離範囲の定量的観察を可能な方法を検討する必要がある。また意図的毛様体解離による眼圧下降が得られる機序を明らかとするため、研究実施計画で予定していた、フルオロフォトメトリーによる検討を行なっていく必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
意図的毛様体解離作製物質の検討を行っており、長期間の眼圧下降効果評価実験が遅れている。また測定方法の再検討が必要となり、多数症例、長期観察実験の開始が遅れている。
|