リンパ浮腫に対する新たな治療法として近年リンパ節移植が注目されているが、その機序についてはまだ不明な点が多い。1つの仮説としてリンパ節移植によりリンパ管新生が促され、次にうっ滞するリンパ液が新生リンパ管により移植リンパ節に汲み上げられ、そしてリンパ節内の静脈との交通を介して排泄されることが推測される。またリンパ節内の水分動態にはaquaporin-1が関与しており、リンパ節移植においても重要な役割を果たしていることが推測される。そこで本研究では移植リンパ節がリンパ液をドレナージする機序を解明するためリンパ節内のhigh endothelial venulesに強く発現しているaquaporin-1に着目して行う リンパ浮腫モデルラット(n=3)と健常ラット(n=3)にそれぞれリンパ節移植を行い4週経過後に移植リンパ節を摘出しaquaporin-1の免疫染色を行った。移植リンパ節ではそれぞれaquaporin-1の発現は確認できたが、その発現量については大きな差異は見られない印象であった。また同時にリンパ浮腫モデルラットにおけるリンパ節移植(n=3)・非移植(n=3)時の組織水分量の測定を高感度角層膜厚・水分計ASA-MX100で行ったところ、組織水分量はリンパ節移植群の方が低い傾向にあった(リンパ節移植群:膝窩10.3μS、足底4.14μS、非リンパ節移植群:膝窩23.34μS、足底25.32μS)。 本実験ではリンパ浮腫モデルラットでの移植リンパ節に、より多くのaquaporin-1が発現することを期待していたが、組織水分量の改善はあったにも関わらず発現量には明らかな違いは見られなかった。本研究ではリンパ節移植をnon- vascularizedで行っており、移植リンパ節の生着のばらつきによる影響があった可能性が懸念される。
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